第554話 領主館の毒物騒動2
「このような状態です。謹慎のつもりで離れにこもっている領主夫人と嫡男にも館内のことを教えて貰いましょう」
フェルバーが決断し、シミリートを連れて離れに向かう。
その間に、ドロテアはユリアンネを手伝って解毒ポーションを飲ませてまわっている。
ユリアンネは、後から追いついて来た父ラルフと姉アマルダから貰った解毒の薬草をポーションに調合して行っている。
「ユリ、私達でも手伝えることはないか?」
「お父さんは解毒薬の調合を、お姉さんは他の薬師の方から薬草を分けて貰って下準備をお願い」
ユリアンネは解毒薬を中級までしか調合できないが、父ラルフは高級まで可能である。トリアンのあちこちから集められた薬師達のなかには中級以下しか調合できないが素材だけは持参した者達もいるため、王国魔術師団の権威を使って素材の供出をして貰っている。
「ユリ、流石の魔力操作だな」
父ラルフが調合した通常の解毒薬に対して魔力を込めて解毒ポーションにするユリアンネの手元を見ながらの発言である。
「教えて貰った成果だけど、まだまだ……」
「いや、立派なものだよ。特に魔力量が違う」
父から調合の腕を褒められて照れるが、すぐに気を取り直して完成物をドロテアに渡していく。
「井戸は当面の間は使用禁止です。水に関しては、魔術師団員が作り出しますので、そちらを利用してください」
小山の上であり、水は井戸に頼っていたのが狙われたようである。
もちろん水を作り出す魔道具も領主館であるのでそれなりにあるが、ここの人数を賄うほどではなかったので、魔術師団員の力に依存することになりそうである。
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