第526話 デンの散歩
「で、本当に良いんだな?」
今日はデンを連れてヨルクの実家に向かうことになっている。鍛治を見たいというのである。
ジーモントが呼んで来た馬車にデンとゼバスターが乗り込み、他の皆が騎乗して進む予定であったが、騎馬の数が多くて目立つということに。御者台にはカミラとゾフィ、馬車の中にはユリアンネとドロテアも乗り込むことで、騎乗はヨルク、シミリート、ジーモントの3人だけになる。
「親父、帰って来たぞ」
「ヨルク!何だ、急に!」
「今日は仲間達ともう少しだけ見学者が居るから。でも気を使わないようにって本人達も言っているから」
「そうは言っても、明らかに貴族の方だろう、あれって」
こっそりヨルクにささやかれるので、頷いて合図だけは返しておく。
「ほら、焼き入れもなかなか良い感じになっただろう?」
「ほぉ、色々と試行錯誤しているんだな」
「これで高級品の製作にもあと一歩だろう?」
「いいえ、ヨルク。これは高級の下位になっているわ」
ユリアンネの簡易鑑定の結果を伝えるとヨルクは喜ぶが、
「は、そんな境目程度の上か下かではなく、ちゃんとした高級品を目指すんだな」
と発破(はっぱ)をかけられている。
「分かっているさ!」
デンは、鍛冶自体の熱い中での作業の様子や親子のやりとりを見て興奮しているようである。
「デン様、面白かったですかね。まぁこれは記念品に差し上げますよ」
試作品の短剣(ダガー)を貰ってますます顔を崩して喜ぶのを見て、ヨルクも弟のように思っているようである。
「ヨルクの両親もやはり背が低いのだな」
「まぁドワーフだからな」
「うん、まぁそうだな」
何かデンの反応は変な感じがするが、それ以上は触れてはいけない感じである。
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