第519話 暗殺3

「さて、話を聞かせて貰おうか」

 スラム街で捕縛した男達。中でも厳つい男と裏商会の男だけは眠らせて縛った上で、戦馬(バトルホース)に荷物のように積んで急いで連れ帰って来た。

 他の男達も別途持って行った台車に乗せて運ばれて来る予定である。

 武器を抜いて命を狙った強盗殺人という扱いで犯罪奴隷への処理を行い、懐中の物を確認しながら尋問を行うマンファン達。


「これはまずいことになったぞ」

 エードルフ・シャイデン男爵が、侯爵家の嫡男デレックの暗殺依頼を行ったというのである。証拠は口頭のみであり、犯罪奴隷にした男達の話は証拠にならない。嘘をつくことも強制できるからである。

「変なところにこの証人達は預けられないな。あの中隊長に腹を括って貰うしかないか」

 マンファンは、出世を考えながら日和見をする自分の上司である中隊長を思い出す。

 そして、シミリートを使って王国魔術師団のフェルバー中隊長との面談の場を設定させる。


「マンファン、やってくれたな」

「何のことでしょう?私の手柄は上司である中隊長の物かと」

「フン、こうなったら腹をくくる。嫡男派であるアーロルト・フスハイム子爵に連絡を取るぞ」

「承知しました」

 それからの動きは、相手に準備をさせないための迅速さを求める。

 すぐにフスハイム子爵にフェルバー中隊長を面会させて、嫡男デレックの暗殺準備の話を伝える。



「シャイデン男爵、どういうことか?証拠はこちらの手にあるぞ!」

 国王を称するインガルズの前で、フスハイムがシャイデンを詰問する。

「フスハイム、明確な証拠はあるのか?それが提示されないこの場ではここまでに」

「承知しました」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る