第517話 暗殺
「良いか、まずは子供のデレックからだ。親はいつとも知れない状況だ。嫡男の死を知ったら勝手に死ぬ可能性もある。逆の順にすると勘づいたデレックが逃亡する可能性もある」
「かしこまりました」
“闇ギルド”メンバを次々に失ったシャイデン男爵は、ストローデ領主であった侯爵家の当主とその嫡男を殺せる手段が悩ましい。
仕方ないので、まだ辛うじて残っている裏商会の者に、裏仕事を請け負う者への発注を任せる。
「おい、男爵の屋敷から戻って来たアイツ。いったいどこに向かうんだ?」
「なんかソワソワして挙動が怪しいですね」
「使い魔が必要になりそうだな。応援を要請してくる。絶対に撒かれるなよ」
「はい、このまま向かうとスラム街に行くのかも。何人か分散しながら尾行します」
「で、どうしてシミやテアが付いて来ているのよ」
「いや、ユリに一人で行かすのも……なぁ」
「戦馬(バトルホース)に乗っていても、使い魔を操るときに身を守る人がいるだろう?」
裏商会のメンバを尾行していた衛兵がマンファン分隊長に相談した結果、ユリアンネに支援依頼が来てすぐに出発して来たのである。
尾行の途中から応援要請に来た者が先導してスラム街の方向に向かう。
「あ、来ましたね。あっちに向かっています」
途中途中に道案内が残っており、目的地の建物に到着するまでに2名の道案内を経由する。
「男爵の屋敷から出て来たアイツは、あの建物に入って行きました」
さっそく使い魔シルヴィスを腕輪から小さなワイバーン形状に変形させて忍び込ませるユリアンネ。目をつぶり念じるような姿であり、その周りをシミリート達が護衛する。
スラム街に大きな馬や武装した者達が集まっていることで目立っているが、何か危険なことが起こりそうなタイミングであり、周りを気にする余裕はない。
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