第456話 トリアン状況の共有

 色々と込み入った話もあり他人がいるかもしれない食堂などでは話せないため、ラルフたちが泊まった広い3人部屋に椅子を持ち込み、“選ばれた盟友”の7人の情報共有の場がラルフとアマルダの前で開かれる。

「ユリは少しでもスープを飲んでね。無理にでも飲ませるからね」

 ラルフとアマルダはその様子を心配するが、カミラの少し強引な方がユリアンネには良かったようで、皆の話を聞きながら少しずつ口にしているのを見てホッとする。


 簡単なところでは、ジーモントが聞いたシャドウとフェザーの兄妹、クロリス商会のウィンデルたちがこの宿に泊まっている経緯である。

 そしてシミリートが衛兵の上司・先輩から聞いて来た、侯爵家のお家騒動やエードルフ・シャイデン男爵と“闇ギルド”などの話である。


「何それ!つまり今の領主代行が素直に領主の嫡男に領主権限を渡せばこんなことにならないってことじゃない。しかもそれに乗っかる男爵もいるなんて!」

「とは言っても、一般市民の俺たちで何ができる?」

「魔術師団のフェルバー中隊長やニキアス副官も巻き込んで……」

「あんな少数では何もできないよね」

 感情的には色々と文句もあるが、内戦を止める方法など思いつかない。


「とりあえずみんな独立派ではなく反対派ってことかな?」

「オトマンさんのこともあるけれど、それがなくてもそんな身勝手なのがトップになる国家なんて上手くいくわけがないじゃない。絶対に反対よ」

「そうだな。うちに直接的な被害は少ないが、冒険者が減ったり港の船の出入りが制限されたりして色々と苦しいらしいぞ」

「そうね。この辺りの高級街は直接的な被害があったみたいだけど」

「うちも宿屋で物を売っているわけではないから、シミの武器屋やオトマンさんところとは違ったけど客の減りは大変みたいだ」

 カミラ、ヨルク、ジーモントの発言を受けてユリアンネはラルフの顔を見る。

「うちは薬屋だが、徴集などの直接的な被害はなかったよ。でも、客の減少は痛手だな」


 共有が終わった後は、特に何か目標やすることも決まらずこの場は解散になり、シャドウやウィンデルたちに挨拶に行く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る