第416話 モンヴァルト山脈での夜襲2

「みんな落ち着いて。散らばりすぎると同士討ちの危険が。まずは集まって」

 シミリートだけでなく冒険者たちの方でも声が上がっている。

「ユリ!テア!」

「分かっているわよ」

「はい」

 “選ばれた盟友”の7人も集まっていたが、そこにレイスが飛び込んでくる。

 シミリートが≪刺突≫のショートスピアを突き出しながら≪頑丈≫のカイトシールドを構え、カミラが氷をまとうショートソードを振るい、ジーモントが≪頑丈≫のバックラーを構えながらシミリートの横に立つ。

 ドロテアはその先に誰もいない方向であることを確認した上で≪火炎≫を発動し、ユリアンネは≪火槍≫を発動する。


「見つけましたよ!お前たち!我の指輪を返しなさい!」

「あ、逃げ足の速い吸血鬼」

「何ですって!」

「今度こそ殺されに来たのか?お、そういえばレイスってことはあの魔導書は成功なのか?」

「お前たち、私の研究成果も奪ったのですね!ニキシオン様に頂いた指輪と合わせて返しなさい!」

「指輪ってこれ?」

 カミラがわざと、女吸血鬼モラクが持っていたのと合わせて2つ、金細工の指輪を見せる。

「返しなさい!」

 蝙蝠のような翼を使って飛び込んでくるが、シミリートが魔槍を突き出すと同時に、ユリアンネも≪火槍≫を発動するとともに、今回も使い魔シルヴィスを吸血鬼ダニロの胸に向けて飛ばす。

 前回の反省か、シルヴィスの突進を優先して回避するダニロ。

「2度も同じ手が効くとは思わないことですね」

「そうかい?じゃあこれは?」

 シミリートが近づいていたダニロに、高級の傷回復ポーションを振りかける。

「グヴォ!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る