第343話 クロリスからの急報2

「そんな……」

 ユリアンネとシミリートそれぞれの頭の中はぐるぐるした状態ではあるが、それぞれの戦馬ゼラとライオが主人の状態に関係なく無事に家に帰り着かせてくれる。そしてクロリスから聞いた内容を仲間たちに伝えた反応である。


 ビザリア神聖王国で孤児だったドロテア以外、皆が迷宮都市トリアンで生まれ育っているので、いろいろな不安が出てくる。

「まぁ独立戦争といっても、領都でもあるトリアンは王国軍が常駐しているわけでもなく、領都の民に何か影響があるわけで無いと思うのだが……もし隣のルオルゾン領と揉めるとなっても、あの魔物が溢れたモンヴァルト山脈が間にあるし」

「シミ、そうは言っても。鎮圧の軍も出発するのだよな?」

「クロリスさんの想定ではな。ただ、きっとそうなるだろうな。王家として放置できないよな」

「俺たちはどうしたら良いんだ?王都で結果をじっと待つしか無いのか?」

「どちらかの軍勢に入るのか、それとも家族を守るために家に居るか」

「どうするにしてもトリアンに向かわないと。でも、途中のモンヴァルト山脈の魔物が。それにもともと遠いからすぐに到着はできないよな」

「すぐに到着しないのは軍勢も一緒だろう。でも、俺たちだけではあの魔物に対応できないし、また南のステルビア王国へ遠回りすると時間もかかるよな」


「どうするにしても、今日は北から帰って来たところだ。まずは落ち着いてしっかり休もう」

 シミリートが皆に告げる。

「ほら、ドロテアの寝るところも決めていないだろう?」

「そう、そうね。いったんはシャドウ達が使っていた部屋で良いんじゃない」

「え、こんな広い部屋を奴隷の私が……」

「とは言っても……じゃあユリと2人でその部屋を使ってよ。魔法の訓練もやり易いでしょう?ユリが出ていけば、ゾフィと2人でゆったりできるようになって私たちも嬉しいし」

 カミラが、気を使わせないような言い方で提案する。確かに、男性3人、女性4人なので、女性が2部屋に分かれるのが妥当であろう。

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