第341話 フィノイス防衛後
「では、フェルバー中尉は陞爵され、男爵になられるということですか?おめでとうございます」
「はい、皆さんのご協力のおかげです。臨時とはいえこの小隊に属する分隊の活躍ですので、小隊長のフェルバー中尉、そして副官で曹長の私ニキアスもそれぞれ大尉と少尉に内定との通知がありました」
「ニキアスさんも!おめでとうございます!」
「はい、皆さんのおかげです」
王都までの道すがら、それなりに親しくなった魔術師団員8人と一緒に行動する中で、小隊長達の昇進内定の話を聞いている。
苦労人のニキアスが報われて良かったと、苦労をかけている1人でもあるシミリートはそのことを棚に上げて考える。
「これは報酬も期待できるわね」
「たくさん消費したポーションの代金そのものは当然にユリアンネに、だけど、その他も期待できるわよね」
王都に着いたところで依頼達成のサインをニキアスに貰い、冒険者ギルド宛の封筒を預かって別れる。それらを持って冒険者ギルドに持参すると、他人に見えないように応接室にて十分な貨幣が入った布袋を渡される。
「多かったのは使用したポーションの代金、フィノイスの街での治療行為で、魔銀貨が複数枚になっております。それ以外でも敵を捕虜にした売却費、食事の賄い代など、かなり多方面で活躍されたようですね」
魔銀(ミスリル)貨1枚は金貨100枚に相当し、ユリアンネの前世記憶の感覚では1億円である。国家予算や軍費となるとそうなるのかと、全く想像がつかない額であり、金銭感覚が麻痺しそうである。
十分な報酬を得てほくほくした顔の仲間達が、久しぶりの王都の借家に帰り着いたところで、玄関のメモを見て驚く。
急ぎの連絡事項があるため、どんな時間であってもすぐに駆けつけて欲しい、というクロリスからの通知であった。
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