第263話 壁魔法の考察

オーク退治の後、ユリアンネは壁魔法の考察に入る。

≪風刃≫の魔導書の入手後に他属性の刃魔法を考察したのと同じ感覚で、習得済みの≪土壁≫terra(テッラ)-murus(ムルース)の応用である。


攻撃力や防御力などを踏まえると、火風水土光闇の6属性のうち、風、光、闇の3属性については壁が出来たとしても戦闘に役立つイメージが湧かない。

水属性でも単なる水では難しそうだが氷ならば強度にも期待できるし、火属性ならば単なる火よりも≪火炎≫のように炎まで火力が強いと攻撃力があると思えた。≪氷壁≫glacies(グラキエス)-murus(ムルース)と≪炎壁≫flamma(フラマ)-murus(ムルース)である。

また、元々の土属性の≪土壁≫の応用として、≪石球≫lapis(ラピス)-globus(グローブス)のように≪石壁≫lapis(ラピス)-murus(ムルース)になると更なる防御力にも期待する。


「ジモ、次に草原に行く時に一緒に行ってくれない?」

「ユリ、どうした?ユリも角兎のどこかを触媒にでもするのか?」

「新しい魔法を試行錯誤するのに、庭でするのは危険だから」

「ユリ、それならば俺が行くよ!みんなが神殿の市場で出品しているときにでも行こうぜ」

ジーモントが屋台で出す肉の確保で角兎(ホーンラビット)を狩りに行くときに同行しようと思ったユリアンネだが、シミリートが同行することになった。


結果的には、ジーモントが狩りをするような草原の真ん中で魔法を試すと目立つので、シミリートと2人で騎乗して魔の森のすぐそばに行くぐらいの方が良かった。


「これはなかなか大変だわ」

「どうした?」

ユリアンネは試してみた≪石壁≫≪氷壁≫≪炎壁≫が思ったよりも魔力を必要とすることに驚いている。しかし、確かに同じ土属性でも土の上位のような石、同様に水の上位の氷、火の上位の炎であり、それを踏まえるとこれら3魔法はそれぞれの属性の上級魔法なのだと推測される。

自作の魔力回復ポーションを飲みながら何度も練習するが、初の上級魔法の魔力量や制御に難航する。

「まだまだ習熟が必要そうだわ」

「またいつでも付き合うからな」

つまり、また今度も付いてくるつもりのようなシミリートに、感謝しつつ苦笑いのユリアンネであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る