第215話 シャトニーでの住居探し再び3

王都で住居探しをしている中で、店舗兼住居の物件を内覧することになった。

「こちらになります」

「ここに来るまで確かに治安も良さそうだったわね。それにあの書店って」

「えぇ、ライマールさんの書店ね。まさか斜め向かいとは思わなかったわ」

「ご存知でしたか。高額商品である書籍の店を構えられるということは、それだけ治安が良いことの証でもあるのですよ。その隣、この物件の正面も高額商品の魔道具屋ですよね」

「隣が食堂なのはありがたいな」

「ヨルクの食欲目線ではそうかもしれないけれど、良いの?鎧などの防具が隣、その向かいが武器屋なんてヨルクの商売敵ではないの?」

「どうせ鍛冶そのものは親戚のところでやるし、自分の作品を並べて商売するかはまだわからないよな。納品先が近くにあると思えば逆に良いんじゃないか」


商店街の反対側、裏口の通りは、物件の北側もその両隣も落ち着いた感じの住居であり、かなり治安の良さは実感できる。


中も案内されると、店舗には店頭以外に応接も用意された上に、裏手の方には馬小屋だけでなく馬車もしまえる大きさがある。井戸や風呂も完備されており、部屋数もそれなりにあることから、作業部屋の確保もできる。

「これだとあの金額も納得よね」

家賃は月額で金貨5枚である。当初に宿代から算出したときには月に金貨2〜3枚と想定していたので、完全に予算オーバーである。


「差額は私が負担するわ。そのかわり広めに場所を使わせてね」

ユリアンネが申し出る。確かに写本を1冊製作するだけでかなりな金額になるだけでなく、ポーション調合もクロリス商会という納品先が確保できたため、ユリアンネだけでも家賃は余裕で払える。また皆は責めないが、トリアンを出るきっかけは何だかんだと自分であるとの思いもあり全額を負担しても良いと言ったこともある。

しかし、仲間達もそれに甘えず、宿代より少し多めの金額程度までは各自がきちんと負担することになった。


〜〜〜〜〜

大雑把な位置関係:

  住居| 住居 |住居

―――――――――――――――裏通り

  食堂| ココ |防具

===============表通り

  書店|魔道具|武器


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