第18話 魔法使い
ユリアンネには父ラルフによる薬草採取の丁寧さも改めて勉強になるが、冒険者達、特に魔法使いであるロルトが魔法を使ってゴブリン等に攻撃しているところにも興味を覚える。
魔法が空想のものと思われていた前世記憶を取り戻した後であること、さらに自身が水魔法の触りを扱えるようになったこと等から、他人の魔法発動が気になるのである。
いくら魔法が存在する世界とはいえ、魔法が使える者は1,000人に1人と言われている。この迷宮都市では冒険者が集まってくることもあり100人に1人ぐらいかもしれない。
魔法が使える者は魔術師、魔導師など様々な呼び名があるが、総称して魔法使いと呼ばれる。攻撃魔法などを使用する戦闘が得意な魔法使い、薬の調合や魔道具の作成が得意な魔法使い、怪我や病気を回復させるのが得意な魔法使い、研究を行う学者魔法使い、はたまた生活が少し便利になる程度の魔法しか使えない魔法使い等、それらを含めても1,000人に1人であるため、攻撃魔法が使える冒険者は珍しいのである。
回復魔法の使い手が少ないのは薬師としては競合が少なくて助かるのだが。
そもそも魔法のことを教えて貰う機会が無いのが普及していない理由と推定しており、父からの教わり方を見ても秘伝扱いと思っているので、ロルトに直接質問することはなく見ているだけであった。しかし、ゴブリンを全滅させた後にロルトが声をかけてくる。
「あれ?魔法が気になる?」
「はい……」
「ラルフさんは水魔法で水生成ができたよね。火魔法が気になるのかな。何が知りたいの?」
気になることはたくさんあった。そもそもどうやって習得したのか?火魔法の呪文はどんな感じなのか?魔法発動体はどうやって選んだのか?他属性の魔法は使えるのか?魔力とは何なのか?ロルトはどのくらい発動できるのか?等。
そのことが顔に出ていたようで、ロルトが笑いながら言葉を続ける。
「ラルフさんにはお世話になっているから、遠慮せず何でも聞いていいよ」
周りで見ていたオイゲンとヒンツがゴブリンの後処理は自分たちだけで行うという身振りをロルトに行い、ラルフが御礼に頭を下げていると、アマルダも興味を持って近づいてくる。
「私もなかなか魔法を使えるようにならないので、きっかけになるかも」
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