第3章 買い物デート
part Kon 7/23 am 11:42
予定どおり 近くのハンバーガー屋に入り 昼食を注文する。
あきちゃんは 小さめのハンバーガーとポテトのセット。
あたしは 中くらいのハンバーガーとナゲットのセット。
に プラス単品で小さめバーガー。
ホントはガッツリ大きいの食べたかったけど なんか恥ずかしいので小さめ。
……まあ お金も無いしね。
2階に上がり 窓際の席に向かい合って座る。
「こんのさん よかったらポテト食べてくださいね」
「あきちゃんも ナゲット食べてね?」
「あー ありがとうございます。じゃあ 1こ もらいますね」
そんなやり取りしながら お互いハンバーガーの包み紙を開けたタイミングで あきちゃんと目が合った。
一瞬 呼吸が止まり えもいわれぬ おかしみが込み上げてくる。
我慢できなくなった あたしの鼻息が漏れる。
それをきっかけにハンバーガーを握ったまま 2人で もう一度 大笑いする。
「いやぁ…ホントに気づかなかったんだってば」
「無視されるし 何か怒らせるようなことしちゃったのかって ドキドキしてたんですよ?」
あきちゃんが笑った顔のまま 頬を膨らませる。
怒った顔も ホントに可愛い。
「あきちゃんって言えばツインテールってイメージだったし 日傘なんかさしてるからさ てっきり デートか何かのお姉さんだと 思い込んじゃったんだって。ゴメンてば」
「そりゃ学校行くときは 時間無いんで2つ括りにしてますけど せっかくのお出かけなんだしアタシだってオシャレくらいしますよ~だ」
……うっ。
そ…そうだよね…。
街中にお出かけするんだったらオシャレもするよね。
あきちゃんは デートにでも行けそうな可愛い服で お化粧もバッチリ。
それに引き替え あたしときたら 部活ジャージにスニーカー。
もちろんノーメイク。
身長差は 彼氏と彼女だけど これじゃ オシャレな彼女とガサツな彼氏って感じ。
なんか『デートに そんなカッコで来るなんて…』とか言われてフラれそう…。
いや 別に今日は あきちゃんと買い物で デートじゃあ無いけどさ。
「今日のが 前に言ってたフルメイク?」
「あー そうです。今朝は ちょっと時間あったんで」
ちゃんと見たら あきちゃん以外の何者でも無いんだけど 印象は スゴく違う。
いつものあきちゃんは ホント カワイイって感じなんだけど 今日のあきちゃんは 大人っぽくて綺麗。
いつものあきちゃん知ってるから お化粧してるって分かるけど パッと見は スゴく自然。
なのに キラキラ度30%増みたいな…。
「あきちゃん いつもは美少女って感じだけど 今日は大人っぽいしホント素敵なんだもん。びっくりしちゃった。お化粧で こんなに変わるとは 思わなかったよ。ホント びっくり」
「ありがとうございます。今日は エプロンドレスのイメージで大人カワイイ感じを目指してみたんですけど どーですかね?」
……うへぇ。
エプロンドレス用なのかぁ…。
ってことは 完成しちゃったら このフルメイクあきちゃんと並んで アレを着るのか…。
マジでハードル高すぎる。
ほぼほぼ 公開処刑だ…。
「ねぇ あきちゃん…。あたしもさ お化粧したらさ あきちゃんみたく… とは いかなくてもさ ちょっとは 大人カワイイ感じになれるかなぁ?」
「あー それなんですけど こないだから ずっと考えてて……ちょっと これ見て欲しいんですけど… こんのさんってブルー系とかパープル系とかのシャドウ持ってます? あと ダークチェリーとかローズのリップとか…」
あ…
あきちゃんは バックからミニノートを取り出すと あたしのために考えてくれたらしいメイクプランについて とっても嬉しそうに事細かに説明し始める。
あきちゃんと出会って 3ヶ月。
いつもは ニコニコしてて 聞き上手の 天使のあきちゃん(ちょっと毒舌気味では あるけど…)。
だけど 時々 この
絵の話とかT-GROの話とか あきちゃんの趣味の話してる時に 出てくる感じ。
二重人格ってほどじゃ無いけど いつもとは だいぶ雰囲気が違う。
そして とにかく よくしゃべる。
ってゆーか語る。
普段のあきちゃんなら 聞いてるあたしが よくわかんないなって思ったりすると顔色で察してくれるのか 補足の説明してくれたりする。
だけど
自分がしゃべりたいことを ひたすらに語る。
なんか 小さい子が ママに一生懸命 話してるような感じ。
今も お化粧 初心者ってゆーか全く素人のあたし相手に 微妙な色味の違いとか 横文字の専門用語 駆使して色々説明してくれてる。
スッゴく嬉しそうに。
よくわかんないし 生返事するくらいしかできないんデスけど…。
でも こーゆー感じ嫌いじゃ無い。
ってゆーか好きかも。
いつもの あきちゃんは優しいし賢いし ホント素敵なんだけど 頼ってばっかで あたし あきちゃんのために 何ができるだろう?って 少し不安になる。
その点
なんだかとっても可愛いのだ。
母性本能くすぐられるってゆーか。
実際 ハグしたこと無いけど もし やったら『子ども扱いしないでください』とか言って怒るかな?
身長差が彼氏彼女だしな…『セクハラです』とか言われるかも。
「…ってゆー感じで この3パターンくらいが いいんじゃないかと思うんです……ただ 実際 お化粧のせてみないとわかんない部分もあるんで なんとも言えないとこもあるんですけど。こんのさん的には どれか気に入ったメイクありました?」
「……いや あきちゃん。色々 考えてもらって悪いんだけどさぁ…。あたし 化粧品とか持ってないし」
「あー いや… それなんですけど さっきも言ったかもですけど こんのさん 色白いし 肌のキメも細かいんで ファンデとかそーゆー系は 後回しにして とりあえず いるものだけ100均と300均で揃えましょう。3000円あったら リップとシャドウは2色ずついけるハズです」
あ ホントだ。
化粧図に矢印して 品番と値段 合計金額までメモしてある…。
ホントに マメで凝り性。
3000円か…。
出せないことは 無い金額だけど。
確かに興味は 少しある。
実際 学校の友だちでしてる子も何人かいる。
高校生で化粧なんて 少し早いんじゃあ…って思ったりもするけど パパはわかんないけど ママは 怒らないと思う。
ママの高校の時の写真 絶対 化粧してるし…。
ただ 部活の友だちでは いないから バレーに集中してないとか思われそうで ちょっと不安。
……まあ でも あきちゃんと出かける時ぐらいは してもいいかも。
オシャレな彼女とガサツな彼氏から 脱出できるかも知れないし…。
いや…。
結局 あきちゃんの引き立て役の衝立扱いだろうけど…さ。
「3000円くらいなら なんとか出せると思うし 頑張って揃えてみるよ。ただ あたし ぜんぜん わかってないから 一緒に選んで欲しいんだけど…」
「もちろん 一緒に行きましょう。でも よかったぁ。こんのさん 元が美人の上に 化粧映えしそうなタイプだから すっごく楽しみです。ちょっと濃いめにアイシャドウとか入れて 流し目されたら…とか思うと キャーッ ドキドキします」
よくわかんないけど あきちゃんは 一人 盛り上がっている。
あきちゃんに 喜んでもらえるなんて なんだか 良いことするみたい。
「あー そうだ。こんのさん 善は急げです。ここからルミナスの方に戻ったところに アタシもたまに行く300均があるんです。布買った帰りに ちょっと寄りません? アイライナーとマスカラ買っときましょう。後のものは 桜橋の100均でも 揃うと思いますし」
「オッケー わかった。でも 生地買うの時間かかるかもだよ? 稲荷町のお店が本命だけど いいの無かったら本町の方も行くつもりだし。もし 時間なくなったらゴメンだよ?」
………。
……。
…。
to be continued in “part Aki 7/23 pm 12:03”
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます