私の頭の中覗いてみますか?

赤いりんご

第1話 やられた分だけやりかえす。

今私は目の前のやつに水をぶっかけられた。

もう一度言おう、いまこのクソ野郎に頭から水をかけられた。

今日は体育祭の後の打ち上げとして皆でお菓子を持ち寄りパーティーをしていた。

クラスの優勝を喜ぶ空気を一瞬で、今、こいつが、壊した。

ここで怒鳴りつけてやりたいがそれは私の今日まで作ってきたイメージがこいつのせいで一瞬で丸つぶれになる。


「これ、どういうことかなぁ?」


笑顔を作り問いかける。


「今日優勝できたんは女子リレーアンカーの愛理ちゃんが二組のやつ追い抜かしてくれたからやろ。やのになんでおまえが注目浴びてんねん。」


 愛理ちゃんとはこのクラスの人気者、特に男子から人気な女の子だ。

いわゆる一軍女子。大活躍した自分が注目を浴びると思っていたんだろう。

 だけど応援団の演技でアクロバットをやった私に注目がいき気に食わず取り巻きの男に媚びでも売って私に文句を言いに行かせたのがまるわかりだ。

当の本人は文句を言ってきた男の後ろで悲しそうな顔を作っているが口元が笑っていて全く隠せていない。

慰めているまわりの女子は気づかないのか


「それってあの愛理ちゃんが言っていたん?私そんなつもりなかったのに」


そう返されたことに焦る目の前のサル。

実際いつも目立つことのない私が応援団に入ったのは小さいころから体操を習っていてアクロバットができることがバレてしまい半分強制的に入団させられたのだ。

ロングヘア黒髪ストレートでおしとやかに生きてきた私が、

目立ちたくてやるわけないでしょ


「愛理ちゃんが言うわけないやろ、」

「じゃあ君がわざわざ私に言うことじゃないやん、しかも水までかけてきて」

「うるせ、空気読めって言ってんねんクソ女」


そういうと近くにあったコップを持ってもう一度私にかけてきた。

さっきまでまわりにいた女の子が短く悲鳴をあげ教室中が静かになった。

そして私の中にあったストッパーがはずれた。


「そっかー、なるほどねじゃああやまるわ。せっかく頑張って目立ったみたいやのにそれをわたしが奪っちゃってごめんな。もう一回頑張って目立ってな次はとらへんように気を付けるから」


困り顔をしながら盛大に煽ってやった。

愛理ちゃんの顔が恥ずかしさと怒りで真っ赤になったのを見たとき


「てめぇ喧嘩売ってんのか」

「先に売ったのそっちやろが」


急に口調が変わったことに一瞬驚いている隙に胸ぐらをつかみ机の上に倒してやった


「なにすんねんはなせや」


怒り狂って暴れるが仰向けで地面に足がつかず私が乗っかっている状態では起き上がれないだろう。


「これさっきのおかえしや」


そう言い机にあった二リットルの水を手にもち顔にかけてやった。

まわりの女の子はまた悲鳴を上げ、愛理ちゃんも驚いている。

水が半分減ったぐらいでペットボトルの口を口の中につっこんだ。

鼻からも水を出し呼吸ができず暴れているが水がなくなるまではこのままだ。

かわいそうにこんな姿を大好きな女の子の目の前でさらすことになるなんて


他の男子が驚きから我に返り私の手を止めに来た時にはもう水はなくなっていた。

空になったペットボトルを床に投げハンカチで手をふきながら、やっと水から解放されせき込んでいる男の前に立つ。


「あんまり怒らさんといてくれよ。私もこんなんしたくないねん」

「やりすぎ、だろうが」


走った後のように必死に呼吸しながらまだ言い返してくる。

顔を近づけさきっきまでの微笑みを真顔に変え教えておしえてあげた。


「やりすぎ?ちゃうちゃうお前がやってきたことを同じ分だけ返したっただけや

なにもやりすぎとちゃうやろ、それにしてもまだ言い返せる余裕あんねんな、もっかいやるか次は愛理ちゃんも一緒になぁ」


急に話をふられ驚くご本人。


「わ、私そんなこと言ってないそいつが勝手にあんたに喧嘩売ってんやん私関係ないから」


よっぽどおんなじめには合いたくないんだろうな、男は愛理ちゃんの言葉に唖然としもう言い返してこない。


「あれ、話が違うけどどうなってるのんかな。まぁそっちで解決してな

じゃあみんな仕切り直してもっかいパーティー楽しもう」


いつも通りの雰囲気を出しさっきまでの怖さを消す。

あぁ明日から噂されるのかな私の作ってきたイメージが、なんてことを考えていた…


がそんなことは起こるはずなく今日も平和にすごしてます。

以上私の頭の中から中継でした。











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