第六話「きみをこんなにすきだった、だなんて」


距離を置く。会話が無い。あえて女の子友達の輪の中に入る。

苦しい、苦しい。

君がこんなに好きなんだって、自覚した。



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あなたがこんなにも好きだった、だなんて

思いもしなくて


ぐちゃぐちゃな感情

きっと心電図で測ったら

乱れきったグラフの波形

いっそのこと心臓の動きを止めたいよ


あなたがいてくれたことが

当たり前だって思っていたことが

あなたがいて 笑ってくれたことが

こんなにも当たり前じゃなかっただなんて


あなたがいなくなった瞬間に

あなたの後ろ姿ばかり追いかける


あなたの言葉が勇気をくれた

あなたの声で次のステップへ ソラすら飛べて

あなたのテノヒラがヨワイ私を支えてくれた


そんな当たり前のことすら

当たり前だと大事にしてこなかった

ワタシの中のワタシが「もう遅いよ」って


あなたがいてくれたことが

当たり前だって思っていたことが

あなたがいて 笑ってくれたことが

こんなにも当たり前じゃなかっただなんて


あなたがいてくれたことが

あなたと笑いあったことが

あなたと歩んだことが

あなたとケンカをしたことが


こんなにもこんなにも大切で

当たり前じゃなかったなんて


あなたが こんなにも好きだったなんて

思いもしなくて


知らなかった

あなたをこんなに好きだった、だなんて





離れた距離が 歯痒くて

離れた歯車が 噛み合わなくて

どうしたらいい?


誰が誰を好きで あいつがあの人を好きで 噂をつまみ食いして 後はもう知らないよ、って食い散らかした奴らが「最近、仲が悪いね」どうしたの?って仕掛けたあんたらが、そんな事を言うの?


無責任で 身勝手で

気ままな言葉で あの子を苦しめるなよ


勝手に奪って 何も分かってなくて

不安に満ちた あの子の表情に気付けよ?


距離を置くあの子と

距離を縮められない僕と

素直を出せないあの子と

素直になりきれない僕と


あの子の表情のカケラだけで

昨日、あの子が泣いたことを知る



君なんだ

だから君だけなんだ

君を放って置けないとか、そんな事を言いたいんじゃなくて

迷子の子猫のように泣きそうな笑顔じゃなくて

向日葵みたいな笑顔の君を知ってしまった

僕なんだ


君なんだ

だから君だけなんだ

君じゃないとダメな僕が 君の声で勇気をもらったんだ

声にならないと 言葉を隠すことなら

もうやめるから


だから僕にとって

かけがえのない君なんだ


君のことが「好き」で溢れている

僕なんだ

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