第96話 【番外編:プレゼント開封の儀】
これは、ニコルの誕生日パーティー中に、
仲良し5人組で"プレゼント開封の儀"をしていた時のおはなしである。
「まぁ!これはかわいいテディベア!見てくださいこのかわいらしい手を…!あら、もしかして瞳が…わたくしと同じ色のトパーズですか!?」
「はい!正解ですわ!ニコル様はぬいぐるみがお好きだと聞いて、特注しましたの。ちなみに…わたしたち全員でお揃いですわ!」
まるっとしたフォルムに、もこもこふわふわのかわいらしいテディベアをくれたのはカレン様だった。
瞳の部分は贅沢に宝石を使用しており、
しかも5人分お揃いで用意してくれたのだ。
「わたくしからは、このヘアキャップを。
辺境伯領でとれるシルクで仕上げてありますの。こちらも、皆お揃いにいたしました!」
「わぁぁ!これはヘアケアに欠かせないアイテム!しかもこのシルクは最高級ではないですか!ツヤサラの髪になってしまいますわね…」
滑らかでトロトロとした肌触り、艶やかな輝きの最高級ヘアキャップをくれたのはミラ様だった。
こちらもなんと、5人分お揃いであることにニコルは驚いた。
「わたくしからはこちらです!わたくしも今年のデビュタントを終えれば入学しますから…学園の制服につけられるブローチにいたしました。こちらもみなさんとお揃いです!」
「こ、こちらもお揃いでご用意を!?
綺麗なブローチ…金具部分も繊細にデザインされていて…わたくしはトパーズですね?とても美しいです!」
続いてはアンナ様からのプレゼントだった。
制服につけるので華美すぎず大きすぎず、
澄んだ色の宝石が美しく、センスを感じる仕上がりのブローチだ。
なんとこちらもお揃いである。
「最後に…こちらはわたくしからですわ!
これは、オリジナルのティーセット。みなさんとお茶会をする際に使用出来ればと思いましたの!どなたのお屋敷でも使用できるように5セット分ご用意いたしましたわ!」
「すごい…とってもすてきですライラ様!わたくしの好きなお花柄にしてくださったのですね!カップのデザインも飲み口が波々で、細やかな花弁のようで…それに、それに…」
―――うっ……ふっ…うっ…
「みなさん…お揃いの品を、くださっ…て」
ニコルは思わず涙がこぼれた。
そう、この日のご令嬢たちのプレゼントのテーマは「お揃い」であった。
ニコルが喜ぶものは何かと、
事前にこっそり4人で考え相談しあっていたのだ。
「みなさん…本当にありがとうございます!ずっとずっと、一生大切にしますわ!」
友人とのお揃いアイテムに憧れていたニコルは感激し、
何度も何度もプレゼントを見返した。
こんなに素敵な友人ができて
感動せずにはいられなかった。
前世では友人とお茶をする時間も
ゆっくり話をする時間も
こうしてプレゼントを贈り合うこともできたなかったのだ。
―――こうして…
一日にして宝物が増えたニコルは、
パーティーが終わったあと
その宝物を屋敷中のみんなに自慢してまわるのであった。
余談:
ちなみにアルバート第3王子からのプレゼントは最高級調理器具であった。
これでまたお菓子をつくれというメッセージではないかと、ニコルは密かに怯えた。
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