第79話 和解
「ほっ…ほんとうに、今まで食してきたお菓子の中でっ…スンッ…いちばんおいしいですわぁぁぁ~!うぅぅ…」
いまだに涙が止まらないライラ様が、
ひっくひっくしながら、おいしそうにお菓子を食べている。
反省で泣いているのか、
おいしくて泣いてくれているのか、
今はもう分からない。
「このように、お茶のご用意までしていただけるとはっ…本当に、寛大なご対応を…ありがっ、ありがとうございます!このフルーツタルトは…絶品ですなぁぁあ!」
こちらの侯爵様ももう、
なんの涙かは分からない。
分からないが、なんだか憎めない親子である。
―――さて。
どうやらライラ様は、
可愛がられ甘やかされすぎた果てに
『この世でわたくしが1番よ!』と思って生きてきてしまったらしく。
その高い高いプライドを、
かのデビュタントの日にわたしにズタボロにされてしまったことがきっかけで
暴走してしまったらしい…
しかもわたしは商品開発までしていた為に
巷では「類まれなる多才な女神」とまで称され始めていたようで(照れる)、
ますます躍起になっていたそうな。
『それだけじゃなくて、上級生の仲良しなおともだちがいたことも羨ましかったみたいだけどね…』
お茶の最中、あれもこれも正直に話してくれたライラ様は、実はそんなに悪い子ではないのかもしれない。
可愛がられて甘やかされてきたのはわたしも同じだ。
いい教訓として、わたしも謙虚でいなければ!
―――その後。
やっと侯爵様とライラ様の涙も止まり。
わたしは最後に、ライラ様にスキンケア商品とハーブティーを渡した。
泣きすぎて顔がボロボロで、あまりにもかわいそうだったし…
スキンケアでツルプリになって、
ハーブティーでも飲んで、
ぜひ心を落ち着かせてほしい。
「なぜこんなにやさしくしてくださるのですか?あんなに酷い事をしてしまったのに…」
ライラ様は申し訳なさそうにそう聞いてきたが…
「ライラ様と、仲良くさせていただきたいからですわ!」と伝えた。
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