2確認
「ここは・・・・」
視界が開けてきた。転生が完了したのかな。と言うか、異世界転生した場合新しい命、つまり赤ちゃんの状態から始まるものだと思っていたが、死ぬ前までの年齢や見た目そのままに転生って感じか。
まぁ、また赤ちゃんからやり直したかったがそこまで贅沢は言ってられない。人生をやり直せるチャンスが来ただけで十分だな。
とりあえず今の状況を把握するか。周りを確認してみる。
「ここ、洞窟っぽいな。」
薄暗く、壁がゴツゴツしていて鍾乳洞のような感じだな。モンスター的なのは今のところいないし気配もない。急に現れるかもしれないから、持ち物や武器の確認、あと転生では定番のステータスなどが無いか色々やってみることにする。
足元には大きめのリュックと鞘に入った所謂ロングソードっぽいのがおいてあった。恐らく女神が用意してくれたものだろう。リュックの中から見てみるとするか。
「えーと、寝袋にテント、着替えとか装備できそうな物もあるな〜ありがたい。」
他にも、折りたたみのスコップや小型のナイフ、携帯食料。それにこれは水袋ってやつかな。あとはランタン、火打石などの光源になりそうなものが入っていた。
次に武器とステータス的なのがないか確認する。
「剣とか使ったこと無いしなぁ。使えるんかな俺」
鞘から出してみる。軽くもなく重くもない、普通の剣だ。いかにも初心者って感じの剣。
「あとはステータスがあるのか無いのか」
あるとすればどう確認するのか。とりあえず漫画アニメ知識で、
「ステータス」
と口に出した。大体はこの方法かと思ったが特に変化は見られない。
「ふむ。じゃあ、こう、指でシュッと・・・」
特に変化なし。
「困ったな・・・そもそもステータスがないパターンか、もしくはどこか特定の場所でしか確認できないパターンか。」
ここで迷っていても仕方ないし、まずはこの洞窟から出て、人のいるところを目指すとするか。街や村があれば色々聞けるだろうしな。そもそも日本語が通じるかどうかの心配があるがなんとかなるだろう、知らんけど。
「とりあえず、出口どこぉん・・・?」
適当に歩いても出れる確証はない。が、とりあえず動いてみるしかないか。
リュックに入っていたランタンに火をつけ、腰に剣も持ち、出発する。
「モンスター的なのに出会いませんように。あーー怖。」
せっかく人生を頑張ってみようと思ったのにいきなりちょいピンチやで。こーゆー時は大体、美少女とか女騎士とかこの辺で最強クランに助けてもらえるはず・・・おそらく、きっと、たぶん。
「はい、俺が甘かったですっ。」
淡い期待も虚しく誰にも会うこともなく歩き続けて、2時間くらい経ったか。ただ少しわかったことがある。
「ステータス、あるなこりゃ。」
転生前の俺は24歳とまだまだ若かったが、働き出してから運動をあまりしておらず、喫煙もしていた。そのため少しのダッシュでも息が切れていた。もし、ステータスが存在せず、転生前の体力・身体能力だった場合こんなに歩いただけで死にかけていただろう。いやほんとに。
しかし、今は歩いているだけとはいえ、身体能力の向上が実感できる。さらに転生前の体の悪かった部分が良くなった気がする。特に視力。近視で乱視持ちでメガネなども苦手だったため、いつも視界がぼやぼやしていたが、今はランプの光があるとはいえ薄暗い洞窟の中でも周りがよく見える。
「自分の唯一自慢できることの弱点がなくなったなぁ」
そう、俺にも妥協してた転生前の人生の中で少しだが自慢できることがあった。まぁ、働いていく上で必要ないことだったし、絶対必要でも無かったので自慢することは無かったが。
自慢できること。それは、反射神経と動体視力の良さだ。
小さい頃は、一人で遊ぶことが多かった。やることがなくてよく家の近くにある山の中で遊んでいた。木に登ったり、木から木に飛び移ったり。山の中は自然のトレーニング施設だった。まぁ、それが効果のあることかどうかは俺もわからない。しかし、反射神経と動体視力が良くなったと思う要因はそれくらいしかない。
反射神経とは、脳で意識せずに無意識のうちに、刺激に対して身体が反応すること。
動体視力とは、人や物との距離感や速度を認識する力のこと。
俺はこの二つが少しは優れていると思っている。
反射神経は反応速度が人間の限界値である0.1秒で、動体視力に関しては説明が難しいが、簡単に言うと電車が目の前を通過した時乗っている乗客の顔がはっきりわかるくらいだ。
この二つが、転生し視力が良くなりステータスが存在するかもしれないこの世界でどこまで伸ばせるか少し気になるな。
武器にできることは出し惜しみせずに行く。本気で自由に人生を送ると決めたからな。
と、色々考えていると
「おっ?!おおおおおおお!?なんかちょっと明るくなってきたやん!」
明るくなってきたってことは出口かもしれないところが近いってことだ。
どんどん明るくなっていく。
「はいきたああ!出口でしょあれ!」
明るくなっている先には緑色が少し見える。恐らく木だろう。
走って出口(仮)に向かう。
「いや〜ー・・・めっちゃ歩いたわ・・・遠いわぼけぇ」
やっと冒険スタートできると思った瞬間
「っ!!」
大きめの石が頭向けてとんでもないスピードで飛んできた。
だが、さっき言った二つの自慢できることを遺憾無く発揮し回避する。飛んできた方に目向ける。
「あれは・・・魔物ってやつかっ・・・!」
そうそこには、所謂魔物、最初に出会う魔物代表ゴブリンがいた。
「もうちょいで出口なのに、ここで初戦闘かよっ」
走って通り抜けれがいいと思ってるだろ?
ゴブリンくらい楽勝だろと思ってるだろ?
確かに、ゴブリンは最初にあう魔物で初心者でも倒せると思ってた。今でも思って入る。
ただそれは一匹二匹とかの場合だ。
「流石に10匹以上はずるいだろぉぉぉ!!!!」
今、初戦闘が始まる。
続く
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