第2話 与えられた加護

 ダンジョンに入る感覚は、こう海の中に落ちた感じで、優しくてぷにぷにした何かに包まれると思った矢先、すぐに頬を風が伝う。


 閉じていた目を開けると、高層ビルが並んでいた景色から一変して、幻想的な世界が広がっている。


 中の時間は外とリンクしているので、お昼過ぎの時点では普通に明るい。でも夜は暗くなるらしい。


「ここが日本ダンジョンの一層、平原エリアで、広さは北海道くらいあるから、限界の場所まで歩くとなると数か月かかるからな」


「と、遠っ……」


「では、ここからダンジョンについて基本知識を教える。まず、【ステータス】と唱えてみろ」


 みんなが「ステータス」と口にする。


 僕も「ステータス」を口にする。



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 名 前:木村 誠也

 レベル:1/1


【ステータス】

 腕 力:1

 俊 敏:2

 魔 力:1

 耐 性:1

 運  :5


【装備】

 右 手:

 左 手:

 頭 部:

 胴 体:宮ノ前制服

    (防御力+200)

 脚 部:宮ノ前制服靴

    (身軽さ10%)

 装飾品:

 装飾品:


【スキル】

 なし

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 目の前に不思議な画面が現れて、名前や色んな数値が書かれている。


「それを【ステータス画面】という。自分以外には見えないから内容は安心しろ。これから親の顔より見ることになる画面だから覚えておけよ。それと一番大事なのは、画面の右下にある【帰還】というボタンだ。これを手で直接触れると、帰還するか聞かれる。そこで【はい】と選ぶと、ダンジョンからいつでも外に出ることができる。ただし、魔物と戦っている間は出れないので気を付けな」


 それからステータスについても説明してくれた。


 腕力は武器を持つ力で、腕力がないとそもそも武器や盾を持てないらしい。


 俊敏は動く速度が速くなるけど、体重や身に付けている防具の重さの割合で下がるそうだ。


 魔力はスキルを使用した時の強さに関わる数値らしい。


 耐性は魔物から受けた攻撃に対する軽減数値らしい。さらに耐性が高い人はダンジョン外での病気に対する耐性も上昇するらしい。


 運は魔物を倒した際にドロップ品を落とす確率に左右するらしい。


 以上がステータスだ。


「じゃあ、低腕力でも使える木剣を持って、四人一組になって近くのブルースライムを倒せ」


 事前に先生から言われた通り、男女二人ずつの二チームが生まれて、近くのブルースライムという魔物を探し始めた。


「お前は一人だな。わりぃな」


「いいえ。僕一人でみんなの足を引っ張りたくありませんから」


「……一応レベル1でも木剣は使えるはずだ。やってみるか?」


「はい。可能性はないですが、やるだけやってみます」


 姉さん曰く、『諦めないやつが最後には笑う』と常日頃言っていた。


 諦めるもなにも、僕のレベルは1から上がらないので意味はないが……せっかくここに来たのなら、やれることはやっておこうと思う。


 木剣を持って近くのブルースライムを探した。


 木剣は攻撃力+1らしい。制服の防御力が+200なのでそれと比べたら随分と弱い。


 近くを歩いていると、青いまん丸としたスライムが現れた。


 初心者御用達魔物の代表ブルースライム。これが色が変わっていくと話は変わるが、青色のスライムは最弱で有名だ。


 全力で木剣をブルースライムに叩きつける。


 姉さんに言われて、二年間木剣を振っていた甲斐があって、初撃で当てることができた。が、ブルースライムの体の弾力で弾き戻された。


 すると、反撃で僕の体に突撃してきた。


 小さくて可愛らしいと侮っていたが、やはり魔物。僕の体が大きく吹き飛んで、地面に叩きつけられた。


 ただ、痛くはない。これが制服の力だと思う。


 それから何度もブルースライムを叩き、吹き飛ばされたりを繰り返す。


 痛くないとはいえ、三十回も吹き飛ばされると体が疲れるし、精神的にも疲れる。


 三十一回目の攻撃で、ブルースライムをようやく倒せた。



《経験値4を獲得しました。》



 これが例のアナウンス画面か。


 魔物を倒すと小さな画面が現れて、経験値量やドロップ品を教えてくれるらしい。



《初経験値獲得で成長限界を確認。個体名【キムラセイヤ】を確認。女神トレイヤより経験値の加護が付与されます。なお、加護は表示されません。》



 えっ……? 加護? 付与? 女神? 一体何が……?



《加護〖経験値〗を獲得しました。》


《スキル〖装備レベル付与〗を獲得しました。》


《スキル〖装備レベル剥奪〗を獲得しました。》



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 〖装備レベル付与〗

 装備品に自身が持つ一定の経験値を付与し、

 レベルを与えることができる。

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 〖装備レベル剥奪〗

 レベルを与えた装備品のレベルを戻す。

 (ただし、還元経験値は半減する)

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 ブルースライムを倒しただけで変な画面が色々現れて、しまいにはスキルまで獲得!?


 現状があまりにも信じられないので、再度確認してみる。



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 名 前:木村 誠也

 レベル:1/1


【ステータス】

 腕 力:1

 俊 敏:2

 魔 力:1

 耐 性:1

 運  :5


【装備】

 右 手:

 左 手:

 頭 部:

 胴 体:宮ノ前制服

    (防御力+200)

 脚 部:宮ノ前制服靴

    (身軽さ10%)

 装飾品:

 装飾品:


【スキル】

〖装備レベル付与〗〖装備レベル剥奪〗

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 やっぱり夢ではないみたいだ。

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