第4話
地上にも魔物が湧くようになるよ。
突然とんでもない言葉で殴りかかられたスタジオの人たちの時が止まる。
「おや?その反応を見るにやっぱり知らないんだね」
僕はそんな人たちを前にしながらも話し続ける。
「魔物ってさ、結構不思議な生態なんだよね。空気中の魔力を自分の色に染め上げ、そこを縄張りとする魔物だとか、己から魔力を発する魔物だとか、空気中の何者にも染まっていない魔力から発生する魔物とか」
「え?ちょ……え?」
僕の言葉を受け、いつでも冷静沈着として世間から高い評価を受ける女子アナウンサーが困惑の表情を浮かべる。
「い、イムさんはどの魔物でいらっしゃって?」
「僕は空気中の魔力を染め上げるタイプだよ……あくまで本体はね?スライムは魔物であって魔物であるとは言えない不思議な生物だから」
スライムは基本的に無害である。
本能も意思もないただただ水色の物体だし……やることと言えば温度に反応して突進することくらい。
「な、なるほどぉ?」
「待て待て!そこではないッ!大事なのはッ!?地上に魔物が湧くだと!?」
「湧くでしょ、そりゃ。ダンジョンに湧いて地上に湧かない理由なんてないでしょ。あぁ……ちなみにどうあがいてもこの現実は変わらないから安心して?次に来るダンジョンスタンピード。第三次迷宮大氾濫が起こったら終わりだから」
ダンジョンスタンピードとも迷宮大氾濫とも言える未曽有の災害。
地上には無害だと思われていたダンジョンから大量の魔物が溢れだして一斉に人類へと侵攻し始める現象は第一次の時も第二次の時も人類に対して凄まじい被害を出した。
未だに空と海の方に威を構える魔物を人類は倒せておらず、人類は領空と領海を失った。
「た、たとえ魔物が地上に湧くようになっても……い、イムさんがいれば大丈夫、ですよね?」
「え?別に僕は積極的に助けたりしないよ?面倒だし。流石に日本が終了するような事態に対しては対処するけどそれ以外ではなぁ。よし!警告終わり!僕はこれを言うために来たから……帰るね!時間取ってくれてありがと!それじゃあ……しゅば!」
僕は唖然とするスタジオを残してさも当たり前のようにこの場を去った。
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