第25話
「は、はは……ハハハハハハハハ!!!」
暗い、暗い部屋でスマホの画面を見る少女が狂ったように笑い声をあげる。
「そうか!そうか!……やっぱりあの子だったのね!あぁ、そう……そう、そうなのね……あのスライムが誰からもテイムされていないスライムでリーフが本当にただのクソ貧乏なのだとしたらすべてが説明つく」
少女は光り輝くスマホを投げ、ベッドに転がる。
「あのスライムには明確な知性がある。何も知らないリーフに近づき、彼女とダンジョンで配信する……あの配信で知性がないと判断するのは無理。目的としてはさしずめ自身の味方を増やすためかしら。そして、問題なのが決して人畜無害なんかじゃないこと。高性能のカメラをリーフが持っているはずなく、またスライムが持っているわけない。なのに持っている……つまり、下層に生息していたあのスライムがカメラを持っている者から殺して奪った……」
少女はそっと手を伸ばし、ベッドに置かれている一人の男のぬいぐるみを手にとって抱きしめる。
「今、行方不明になっている下層にいける探索者はただ一人。万能のスキルを持ち、探索者としてだけでなくマルチに活動して大活躍する……ひ、一人の……」
少女の中で物語が完成する。
だがしかし、その物語は彼女にとって残酷ともいえるものであった。
「……私の目標は何か」
しばらくの間、ベッドで倒れて沈黙していた少女が二人話し始める。
「私は、世界で最も有名な配信者になること。誰にも負けない最強の配信者に……それが……私の。私が受け取った目標……あぁ、何も変わらない。例え、あのスライムが……何者で、何をしていようと変わらない。どうせ、住んでいるところは近いのだ。あのスライムが人類に牙を剥いたらどうせ死ぬ。行動せず死ぬより、行動して死にたい」
少女はベッドから出て、ゆっくりと立ち上がる。
「待っていなさい、和葉。貴方には私の友だちとなって、一緒に世界一有名な探索者になってもらうわ」
少女は不敵な笑みを浮かべ、言葉をはっきりと告げた。
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