第一部 十三章 偽彼女? 恭介くんは私のだから!

第187話 絶対に譲れない一線というのがある

 最近多々良家の洗濯物干しには毎日俺のパンツが二枚干してある。

 さっしの良い読者なら分かっているかもしれないけど片方は毎朝俺が手洗いしてから洗濯機に放り込んでいる分だ。

 そう、俺は最近毎晩夢精している。

 夢精することそのものよりも毎日母親が俺のパンツを二枚、脱衣所に着替えとして置いてくれる気遣いこそが死ぬほどつらく悩んでいる。

 いつもの見て見ぬ振りをしてくれる母親のさっしの良さがキツイ。これが俺の一つ目の悩み。


 もう一つの悩みは風評被害だ。あれから一週間。

 もはや学校中が俺の精液がくそマズイという噂で持ちきりになっている。人の噂も七十五日とはいうが、この状況の中で二か月半過ごせというのはつらい。

 5月の宿泊訓練と6月の体育祭をこの空気の中で過ごすのは流石に俺でもメンタルをやられそう。

 なにしろ他のクラスの女子は俺が自分の精液を俺のクラスの女子全員に飲ませたと思っているのだ。

 2年5組女子18人分の精液って……どんなエロマンガの主人公だよ!


 一つ目の悩みの原因はぶっちゃけあの日陽菜に告げられた言葉のせいだ。

 陽菜が本腰を入れて本気で俺の持続勃起症のお手伝いをしてくれる、それもゴックンありで……もうこんなの据え膳すぎてあの言葉を聞かされてから一週間我慢した自分を褒めてやりたい。


 ただそのせいで毎日夢精している。いや、寝る前にちゃんと抜いてるんだよ。

 陽菜が協力してくれた写真とか、俺のパソコンの写真フォルダの中でちょっとセクシーな陽菜の写真とかそういうのを使って頑張ってる。

 でも、夢に出てくる陽菜は毎日それ以上の破壊力で俺のことを翻弄するのだ。昨日はなぜか白い道着と黒い袴を着た陽菜が出てきて俺は寝技で抑え込まれて弄ばれたのだ。

 夢の中の陽菜はテクニシャンで俺はいつも翻弄されて簡単にイカされてしまう。


 据え膳食わぬは男の恥という言葉が元の世界にあったが俺は陽菜に対してそんなことはできない。

 陽菜に一回性処理をお願いしたら、俺は絶対歯止めがきかなくなる。

 俺は持続勃起症の患者などではなくただ性欲が高まって勃起しているだけなのだ。

 陽菜にお願いして気持ちよくなることを覚えたら陽菜との関係は本当にただれたものになってしまう。

 別に体の関係から始まる恋だってあっていいと思うけど俺は恋人として、キスから段階を踏んでそういうことをしたいのだ。ヘタレというなら言えばいい。

 一度彼女を寝取られて命まで落とした俺だからこそ絶対に譲れない一線というのがあるのだ。


 だから俺は決めた。

 陽菜に告白する。今の陽菜は俺のことを幼馴染としてしか見てないようだから誰よりもイイ男になって陽菜に惚れて貰う。


 目標は6月25日の陽菜の誕生日。その陽菜の誕生日の直前にある体育祭でいいところを見せて誕生日に指輪を渡して告白するのだ。

 指輪は陽菜の生まれた6月の誕生石であるアレクサンドライト、光によって深い青緑色から赤みがかったバイオレットまで変色する神秘的な石で陽菜にぴったりだ。6月の他の誕生石の真珠とムーンストーンはちょっと地味なので除外させてもらった。

 そのために週一日だけど元の世界で働いていた居酒屋でのバイトを始めた。6月までに予定の金額を貯められる予定だ。


 待っていてくれ陽菜。絶対に幸せにしてみせるから。

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 7/17は祝日のため1日5話特別公開

 6,9,12,15,18時の1日5話更新となります

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