第146話 息子の情けない姿を見て見ないふり
そして今、俺は女教師と女刑事に組み付かれて左右から頬ずりされている。
意味が分からないと思うが、文字通りの状況だ。
右手も左手もがっちりと決められて動かせない。丁度俺の二の腕の辺りが二人のおっぱいにそれぞれ挟まれてすごく幸せなはずなのだが全然幸せに感じられない。
みなもさんに関してはご丁寧に俺の手を恋人繋ぎしたうえで動かせないように固定している。
「あらあら、恭ちゃったら本当に人気があるんだから。お姉ちゃん嫉妬しちゃうぞ」
などと言いながらこの状況を招いた張本人があさかさんと一緒にのほほんとお重を並べたり、飲み物のコップを準備したりとセッティングを進めている。
俺が想定していなかったこの大人三人を呼んだのはさちえさんらしい。最初にさちえさんの顔を見たとき三人が一応大人として「本日はお招きに預かり」的な挨拶をしていたのを聞いた。
大人をやるなら最初から最後まで大人をしてくれ、酔っ払いども!(あさかさん除く)
とにかくこの貞操の危機に陽菜を頼る意外にないのが悔しい。筋肉は裏切らないとは何だったのか? さらに上等な筋肉の前には裏切られまくるのである。
さわさわ……あ!? この男が苦手って言ってる女教師。俺で男慣れの練習しようとしてるな。脇腹の辺りからそ~っとこっそり手が下に降りて行ってる。
18時に陽菜パパの乗った電車が駅に着くから、駅からの移動時間を考えるとあと数分、あと数分で陽菜が来てくれると信じているが貞操の危機は待ったなしだ。
「ンフフ~、多々良ってば前よりももっと筋肉付いたんじゃない?」
さわさわ。太ももを触るなセクハラ教師。
「ん~、未使用の悪いおちんちんは手錠をかけちゃうから……逮捕しちゃうぞ」
非番だろうに手錠を持ってくるな!? 非番じゃなかったら通報してやる。
本来は警察が助けてくれる場面で肝心の刑事に好き放題されている。酔っぱらったら無罪みたいな最低な文化が元いた世界の男性にはあったが、こっちの世界では女性がそうなるのか?
ドサッ
そのタイミングで俺の目の前に荷物が置かれる。荷物を持ってきたのは俺の母親だ。
助けてマミー
「ああ、看護師の若山さん、その節はお世話になりました。こら恭介、なんて格好しているの。シャンとしなさい」
俺の大ピンチを見ながら何故かあさかさんと世間話しながら俺の襟のめくれているのを直してくれる母さん。
息子の情けない姿を見て見ないふりをしてくれるらしい。ヘルプミー、マザー!
元の世界でも俺が初めて夢精した時にパンツ洗っているのを見て見ぬ振りをしてくれただけのことはあるぜ。
息子に関するスルー力はバツグンだ! そしてうちの家の父親に発言権はなかった。残念。
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