　俺は元の世界ではだいたいゴリマッチョこと村上とつるんでいた。だいたい昼休みなどの休み時間も一緒にいたし、放課後も部活で一緒。

　休みの日もヒナと出掛ける時以外はつるんでいた。その時から考えるとこちらの世界ではゆうきとは少し距離がある感じではあった。

　ギュゥ……

「きょーすけ……こうやって毎日一緒に部活出来るのが嬉しいよ。これからはずっと一緒だよ」

　後ろから抱きしめられて耳元で囁かれる。元の世界では野太い声だったのにこっちの貞操逆転世界のゆうきは声変わりさえしていないんじゃないかというソプラノボイスだった。

　ちょっとぞくっとするが、貞操逆転世界の男子なんだしゆうきに危険性はないはず。

「こ～ら、ゆうき。甘えてないで真面目にトレーニングするぞ」

　俺が言うと素直に背中を押してくれる。

「きょーすけの背中って広くて筋肉質でゴツゴツしてるよね。去年の秋は全然そんなことなかったのに今年に入ってから凄く鍛えたんだね。カッコいいよ」

　いや……俺に言わせて貰うと元の世界のゴリマッチョこと村上の肉体美が結構理想だったんだけど。

　プロテイン不足のせいなのか？プロテインを摂らせてトレーニングさせまくれば今目の前にいるゆうきもゴリマッチョに進化できるのか？

　攻守を交代して今度はゆうきの背中を押してやる。女の子みたいにプニプニの背中。全然筋肉がついていない。

　ゆうきも俺もジャージなのでゆうきが股を開いているのを上から押していると、なんだか周りの女子部員の視線が痛い。

　やっぱりこのレベルで可愛い男子は注目を集めてしまうんだろうな。ゆうきがこの貞操逆転世界の女子から危険な目にあわされないように俺が守ってやらないと。

(やっぱりあの二人できてるんじゃ…)小声で女子が何か言っていてよく聞こえないがゆうきを襲う計画とかじゃなければいいけど……

「きょーすけは今週の日曜日って時間空いてる？」

　ゆうきに聞かれる。今週の日曜日は桜祭りの当日だ。

「桜祭りで昼頃にステージ関係の仕事があるけどその前後なら空いてるかな」

　夜はうちの家族と陽菜の家族で集まるから夕方までなら大丈夫かな？

「そっか……それじゃあ日曜日の午前中、お祭りの会場を一緒に回らない？ステージの準備をするまででいいから一緒に歩こうよ」

　そうか……祭りの時もゆうき一人じゃ危ないかもしれないな。祭りに行きたいけど人が多くて不安だから俺をボティーガード代わりにしたいってことか。

　元の世界にのゴリマッチョ村上には本当に返しきれない恩があるからこういう時にゆうきに恩返ししておこう。

　ゆうきに恩返ししても村上とは全然別人としか思えないし実際に別人なんだけどな。本当にただの自己満足ではある。

「いいよ、祭りでしたいことがあったら遠慮なく言えよ」

「やったー、僕お祭りって久しぶり。きょーすけとデートなんて夢みたいだよ」

　ん、今なんか変な単語が聞こえた気がするけどデートに例えてるだけで冗談だよな？

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　7/1，2は1日5話特別公開

　6，9，12，15，18時の1日5話更新となります

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