第72話 さちえさんに褒められるのは誇らしかった

 とりあえず図書館を出ることにして陽菜が出していた本を書棚に戻し、ノートなどは司書さんにビニール袋を貰い包んでから俺の服の下のお腹の所に押し込んだ。


 俺が着てきたカッパを陽菜に着せて、俺が傘を持って図書館の外に出る。雨の中を歩こうとするが横殴りに近い雨になり始めていた。

 とにかく相合傘の要領で並んで歩こうとするが、とてもじゃないが二人の体をカバーできない。


 ここで正しい判断はさちえさんか俺の母さんに電話して図書館に迎えに来てもらう事だったが、俺たちは二人ともまだ携帯を持っていなかったしいったん図書館を出てしまったのでもう一度戻って公衆電話を借りるのは面倒だと思ってしまった。


「陽菜、俺がおんぶするから傘を持ってくれるか?」

 陽菜に問いかける。

「傘を持つのはいいけど……恭ちゃんが濡れちゃわない?」

 陽菜は心配してくれるが、だからこそ陽菜がしっかりと傘をさして俺が濡れないように差し掛けてくれとお願いする。


 おんぶした陽菜が傘を差した状態で15分ほど歩いて陽菜の家に到着した。玄関まで迎えに出てくれたさちえさんが驚いた声を上げて出迎えてくれる。

「あらあら……こんなに濡れて……陽菜のことを濡れないように護ってくれたのね、ありがとう恭介くん。恭介くんは本当に頼りになるわ。これからもよろしくね」

 髪を拭くためにタオルでナデナデされて俺は真っ赤になっていた。さちえさんに褒められるのは誇らしかった。


 さちえさんがお風呂を沸かしてくれて、まずはびしょ濡れの俺から入ることになった。頑張った甲斐があって陽菜はほとんど濡れずに家まで帰りついたので風邪をひく心配もない。


 陽菜の家のお風呂には陽菜と一緒に何度も入っていたので(ぶっちゃけ小6のその頃もたまに一緒に入っていた)一人でも平気だったのだが、体が冷え切って震えていた俺を心配してさちえさんが一緒に入ってくれた。

 大きめのバスタオルを体に巻いているが胸の谷間が強調されてかえってドキドキした。


 今の陽菜がさちえさんに似てきたというべきなんだろうけど、その頃のさちえさんも今と変わらず背があまり高くないのにおっぱいは大きくてバスタオルではいろいろと隠しきれていなかった。


 俺の体を優しく洗ってくれて、湯船につかる段になるとさちえさんはバスタオルをタオル掛けにかけて一緒に湯船に入ってきた。

 お湯は透明なのでさちえさんの体が全部見えていたし素肌が触れあってドキドキしてしまった俺は自分のおちんちんが大きくなってしまったことに気付いていた。


 隠そうとするがさちえさんに大きくなったおちんちんを見られてしまった。

 ちょっと顔を赤くしたさちえさんが目をそらすようにしてくれて上の方のシャワーヘッドのあたりを見ていたので、俺は逆に下の方を向くと、さちえさんの全部が見えてしまってかえっておちんちんがイライラした。


 その夜、俺は初めて夢精した。夢の中にはさちえさんが出てきて一緒にお風呂に入っていた。


 翌朝、カピカピになったパンツをこっそり洗っていたら母さんにバレてしまったが母さんは精通を見て見ぬ振りをしてくれた。

 そのわりにさちえさんとは情報共有されてしまっていたのは元の世界での俺のガチの黒歴史だった。

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