第57話 本気で殺してくださいとお願いしたくなった

「アンタの側の事情は知らないから、こちら側の事情をアタシから説明するわね」

 朝から国語準備室に来てちさと先生の向かいの椅子に腰かけている。


 先生がコーヒーを入れてくれたがビンの中で固まったインスタントコーヒーをスプーンでガリガリ砕いてカップに入れて電気ポットからお湯を入れていてた。

 この人のワイルドさは貞操逆転とかじゃ説明できないから根本的にガサツなんだろうな。


「この世界にはたまに脳の病気だったり、原因は分からないけど急に性格が変わったりしてが現れることがあるの。流石に無駄に不安と性欲を煽ることになるから一般の学生には教えられない。だから、そういうことがあるってことは今まで聞かされてないわよね?」

 先生の言葉に自分というが、ので素直にうなずく。嘘はついてない。


「でね、そういう男子がもしも高校に通って性欲みなぎる女子高生を刺激した場合何がと思う?」

「赤ちゃん」

「そうね……呆れるほど沢山の女の子が妊娠しちゃうことがあるの。過去の事例ではある学校のクラスの女子が1学期間で全員妊娠したって例があるわ」


 なるほど……貞操逆転世界に元の世界の男子が迷い込んでハーレムを築いたり、脳の病気でこっちの男子が性欲爆発した場合、行きつく先はクラス崩壊、学校崩壊か。


 たまたま病院でクラスの女子と親しくなったのでになりたくないとハーレムなんて考えを持たなかったが、最初から元気な状態で価値観逆転してクラスに送り込まれていたら、俺の性欲あくまがMAX最強になって理性てんしが負けて獣のヤリで無双して大変なことになっていたかもしれない。

 戦国無双ならぬハーレムクラス無双だ。ヤリ一本でクラスの女子高生を全員薙ぎ倒すのか。


「多々良恭介が川で溺れた後、急に性欲過多になったってことを病院で担当した看護師から報告を受けてね、それで対策マニュアルに従って病院、学校、警察とチームを作ってアンタを監視してたってわけ」

 先生の言葉にショックを受ける。俺をタオルコキしたあの若山あさかさんもグルだったの?


「アンタに気付かれないように監視カメラがついた特別室に入院して貰って行動を監視、うちのクラスで一番しっかりしている委員長の岩清水にはあえて事情を伝えずに普通のプリントを届けるように指示してアンタの病室に行って貰ったの。

 もしアンタが岩清水に手を出すようならすぐにスタッフが踏み込んで取り押さえる準備が出来ていたのよ。

 まあアンタは手を出すどころかクラスの女子と打ち解けて、逆に女子から手を出されそうなときはしてたみたいだったけど」


 え~……衝撃の事実が多すぎてついていけない。この世界に貞操観念逆転、つまり俺のみたいなのが現れた場合の問題の大きさがこういう厳重な対応を取らせてるわけか?


 確かに俺が元いた世界にこっちの世界から貞操逆転女子が現れてヤリマンになってもせいぜい複数の男子と関係を持って人間関係の崩壊、性病のまん延などの問題が発生する程度かもしれない。しょせん一人の女の子、自分が妊娠してそこでジ・エンドってことか。


 逆にヤリチン in 貞操逆転世界は無限に被害者が増えてしまう。

!!」一見名言っぽいがただの男女間の事実だ。


「分かっている限りはアンタがこそこそオナニーしに行っていた回数も確認させて貰っているわ、2か月間で分かっている限り28回。これはあの病院のよ」

 ドヤ顔の先生を前に、本気で殺してくださいとお願いしたくなった。

 -----------------------------------------------

 12時公開分で一連の流れのオチ。落ちがつくかな。

 6/10,11は1日5話特別公開

 6,9,12,15,18時の1日5話更新となります

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る