第2話 俺のカノジョだ
あの映像に映っていた女の子は間違いなく俺のカノジョのヒナだ……。
付き合って半年……正直何度も身体を重ねて裸も見てるから体つきや左乳首のホクロだけでも間違いないと言い切れる。
だけどそれだけではないのだ……ヒナは中学校に上がったころに臓器移植で心臓を移植していて胸に大きな手術跡がある。その傷跡も映像にはしっかりと映りこんでいた。
あの映像はサッカー部の西田先輩から流れてきたという話だった。
リベンジポルノという言葉が頭をよぎりまた便器に顔を突っ込むようにして嘔吐する。
食べかけていた昼の弁当はすでに吐き切って胃液の味しかしない。
昼休みの半分が過ぎただろうか……吐くものがなくなると楽になってきた。
映像の中ではヒナは避妊具なしで性行為を行っていた。俺がヒナと体を重ねる時は必ず避妊具をつけて手も念入りに消毒して行為を行っていた。
臓器移植後のヒナは免疫抑制剤を飲んでいるので少しでも細菌による感染がないように……そして催奇性、つまり生まれてくる子供に異常が起こる可能性を少しでも減らすために妊娠させるようなことはさせられないと思っていたのだ。
だがヒナは西田先輩とは生でしていた。その上安全日だからと全てを体内で受け止めていた。
もう吐くものもない……このまま保健室に行くか早退してしまうかとも考えるが確認しなくてはならないことがあるから重い脚を引きずるようにして教室に戻る。
村上が楽しそうに声をかけてきた。
「ヌくほど興奮してトイレに駆け込んだのか?」
冗談とは分かっているが表情を取り繕う事さえできない。
「村上……ちょっとこっちに来てくれ」クラスを出て屋上に繋がる階段の踊り場に向かう。この高校は1年生が三階、学年が上がるごとに階が下がっていくので俺たちのクラスのすぐ近くの階段は屋上に繋がっている。
鍵がかかっていて出入りできない屋上に続く階段にはひとけはなく誰にも聞かれずに話をするのに最適だ。
「あれは俺のカノジョだ」
俺は村上にそう告げた。
--------------------------------------------------
第三話は明日の朝6時投稿予定
第六話までは一日二話ずつ投稿します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます