第444話 俺の王都行きで一気に片を付ける事が決まった

 俺が余計な事を言ってしまった事で、両陛下と領主ご夫妻に俺がソラのダンジョンのマスターだという事を言う事になってしまった。ましてこの世界のダンジョンの仕組みについても大まかな説明をしなくては行けなくなったのだ。その結果、当然のように両陛下と領主ご夫妻からの質問攻めにあったけどね。


「マーク、それなら私らでもダンジョンの支配は可能なのか?」


「可能かどうかで言えば可能ですが、先ずはダンジョンの踏破が出来るかどうかですし、コアを見つけられなければどうする事も出来ませんよ」


「コアか……。確かにこれまでも初級ダンジョンなら踏破の報告は何度も上がっているが、コアという物があったという報告はないから普通は見えない所にあるんだろうな」


「それがダンジョンが生き物だという証明でもあるんですから、普通は隠れていますよ」


「だからマークはダンジョンは生き物だと言っていたんだな……」


 勿論、コアだけじゃなくダンジョン自体も生き物のように成長するから、そう言っていたんだけど、この人達に取ってはコアの存在自体がその決め手のように思えるんだな。


「これはひとつ考える事が出来ましたね、陛下……」


「ザック男爵よ、わしもそれは思ったぞ。大公派の上級ダンジョンの事だろう」


 まさか、この人達はその上級ダンジョンを支配しようなんて考えていないよな。俺が今説明した事を聞いていなかったのか、踏破が最低条件だと言った事を……。


「陛下、上級ダンジョンの踏破はまだされた事が無いんでしょ?」


「まだされてはいないが、マークなら可能じゃないのか?」


 いやいや、この人はなんてことを言い出すんだ。六歳児の俺をあてにしてこんな事を考えるなんておかしいだろう。確かに特級ダンジョンであるソラのダンジョンを支配してるのは俺だけど、俺の場合は特殊な方法でこのダンジョンを支配してるだけで、一から踏破して支配した訳じゃないからね。その事は言ったはずなんだけどな……。


「そうですね陛下。この特級ダンジョンを単独で三十階層までクリアしてるマークなら可能でしょう」


 今度は領主様までこんな事を言い出したが、それは俺の実力を評価しての事だからまだ分かる。――いや、陛下も同じことを思っての発言だったのか。でもな~~、幾ら俺の実力が上級ダンジョンを踏破出来る物でも六歳児に頼るなよ。まして敵陣営のダンジョンだぞ。


 あぁ~~こうなったら俺が今やってる裏工作を話した方が良いのかな? そうすれば俺に無理なダンジョン攻略を押し付けようとはしないだろう。だが、それを話すにはダンジョン間の転送陣の事と俺が他にもダンジョンを支配してる事を話さなくてはいけなくなる。だからそうならないように、俺は陛下にこう告げた。


「陛下、ダンジョンの攻略より、今は教会改革と商業ギルドの改革をした方が大公派には堪えますよ」


「マークよ、教会は分かるが何故商業ギルドなのだ?」


 わぁ~~これで漸く俺の本来の目的の話が出来るようになったぞ。どれだけこの人達は俺を遠回りをさせてくれたんだよ……。


「実はですね、僕が今回ここに来た本当の理由は……」


 漸くだが、今回俺がここに来た理由を陛下達に話すことが出来、商用ギルドの上層部と大公派が繋がっているという事を説明出来た。


「そこまで繋がっているのか……」


「それにしても偉く杜撰ずさんな計画のようだな……」


 大公派が商業ギルドと繋がっているのは拙いと少なくとも陛下は思っているようだが、領主様は今回の特許に関するクレームについては杜撰だと思っているようだ。だが俺達からしたらそうでもないんだけどね。日数的にギリギリの設定をして来ているし、自分達のテリトリーで勝負しようとしてるから、こちらとしては陛下という後ろ盾がないと、この戦いには勝てそうにない。どんなに理不尽なクレームでもね……。


「そこで今回は陛下に僕達の後ろ盾に成って貰いたいんです」


「後ろ盾と言われてもわしは肩入れは出来ないぞ」


「勿論、それは承知しています。ですが相手は法律を無視するような奴らですからこの国の法である陛下が居てくれるだけで、こちらは有利になります」


「しかし、それでは直ぐに王都に戻らなくてはいけなくなるな」


「丁度良いじゃないですか、王妃様も教会改革が出来ますから……」


 俺としては王都行きが半ば決定事項に成っている以上、この際だから教会改革と同時に商業ギルド改革もやってしまいたいと思っている。本来なら教会改革は王妃様と神父に丸投げするつもりだったんだが、この際しょうがない。それに陛下が考えていたかも知れない、教会と神聖国の反応を待つという考えもこちらが先手を打ってしまえば、待つ必要も無くなるからね。


「マークの考えは分かったが、それにはマークが王都に行かなければいけないようだが、それは良いのか?」


「そこはもう諦めています。それにこの際ですから王都だけに限らず大公派の掃除も全て終わらせたいと思っています」


「大公派の掃除……? そんな事が出来るのか?」


 まぁ普通ならそんな事が出来るとは思わないよね。これまで何十年と大公派はこの国を牛耳って来ていたんですから。だが俺には秘策があるのだ。今回の王都訪問に先駆けて大公派の上級ダンジョンを衰退させようと思っている。


 これではさっきまで話していた陛下達の考えと同じように思うかもしれないが、俺のは衰退で支配ではないという所が違うのだ。


『ソラ、例の俺が支配したダンジョンからの報告はどうなっている?』


『それでしたら順調のようですよ。かなり隣接してる上級ダンジョンの魔力を吸い上げて成長の阻害は出来ていますし、運営にも支障をきたして来てるようです』


『ありがとう。思った通りだね』


 これはそう、秘策というより既に始めていたことがここに来てそれが実を結んで来てるという事なのだ。まだ陛下達はこの情報を掴んでいないようだが、大公派の上級ダンジョンは既に衰退しはじめているのだ。


 最近の大公派の焦った行動はこの事も原因の一つだと俺は思っている。これまで自分達の最大の資金源だった上級ダンジョンが衰退し始めれば冒険者ギルドや商業ギルドへの影響力が無くなってしまうから、焦って今回のような行動に出たのではないかと思う。


 だから、俺は今回の王都行きで一気に大公派を潰してしまおうと思っているのだ。だがそれには王都に大公本人を誘い出す必要があるから、それだけは国王陛下にお願いしなくてはいけない。


「陛下、王都に大公本人を呼び寄せる方法はありますか?」


「大公本人をか……? そうだな……、無い事も無いが乗って来るかは本人次第だな……」


「それはどんな方法ですか?」


「今度開かれるパーティーで後継者の発表があるかもという噂を流す事だな」


 陛下の話では後継者が今の所決まっていないというのが大公派を抑え込む方法として使われているらしいのだが、それが無くなれば大公が動いてくる可能性があるという事だ。


 陛下には二人の子供が居て男女一人ずつなのだが、まだ若いという事で後継者には指名されていない。その事が今の所大公派には有利に働いているのだ。何故かと言うと大公には陛下と年の近い息子もいるし、その息子にも陛下の子供より年が上の子供が居るからだ。


 現状、陛下にもしもの事があれば、一番有力な継承者は大公の息子という事になるし、それが駄目でも孫が有力だから、大公派は今は無理に内戦などには持ち込まないでいるが、陛下が後継者を決めればその望みが無くなるので直接的に動いて来る可能性がある。


「そうすれば大公が王都に来る可能性は高いですね……」

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