第7話リカ覚醒

しばらくして、愛が戻ってきた。手に持っているトレーの上には人数分のグラスとお菓子が置いてある。

それをテーブルの上に置いた。

愛が座ったと同時に俺はUSBメモリを渡した。

彼女は中身を確認する為にパソコンを開く。

パソコンの中には、とある警察の情報が入っている。愛はパソコンを操作しながら、USBメモリの中に入っているデータを読み込んだ。

読み込みが終わると、今度はUSBメモリをパソコンに差し込む。

そして、USBメモリの中に入っているデータをコピーし始めた。

俺はその様子を眺めていた。

作業開始から20分後、USBメモリ内のデータの複製が完了した。

愛は更に自分のパソコンの中の情報と確認して、俺にデータファイルを送信してきた。

「支払いはいつもの口座に振り込んでおいて」


「分かった」

「それと、このUSBメモリは返す」

「了解」

愛はUSBメモリを俺に投げて返した。

それを受け取ると、ポケットの中にしまう。

「用件は済んだ、じゃあ帰るか」

俺が立ち上がろうとすると、愛が止めてきた。

家に呼ばれた時から嫌な気がしていた。

「待ちなさい、家に呼んだ理由はわかってんでしょ」

加藤が首を縦に振ったので、俺も諦めた。

俺は愛から貰ったデータファイルを加藤に見せた。

「問題無いね、後はリカがどうにかしてくれると思うよ」

そう言って加藤は寝り始めた。

俺はパソコンのセッティングを始めた。加藤は眠ってしまったので、俺は1人でパソコンと向き合っていた。

俺はパソコンを起動させ、パスワードを入力する。

デスクトップが表示されると、俺はUSBメモリーを差し込んだ。

中にはいくつかのフォルダがある。

俺はその中から『R』と書かれたフォルダを開いた。

Rのフォルダ内には、リカのアバーターデータが入っていた。

30分程して加藤が起きた。

「おはようハヤっち」

「あぁ、おはようリカ」

相変わらずのハイテンションだ。

加藤リカとは加藤理沙のもう一つの人格だ。

理沙とリカは寝ている間に変わるらしい、俺も詳しくは知らない。

リカは鞄からシュシュを取り出して、

髪を括り始めた。

「愛ちゃんもお久さー」

「お久しぶりです、リカ様」

「因みに此処ってどこ?」

「私の家でございます」

「愛ちゃんコテ貸してもらってもいい?」

「勿論です」

「ありがと」

リカは愛からコテを受け取り、髪型をセットし直す。

「出来た!どう?」

「似合ってますよ」

「でっしょー!」

加藤は俺の方を見る。

「ハヤっち何か感想はないの?」

「ない」

「えぇ……嘘でも良いから褒めてよ」

リカは不満そうな表情を浮かべる。

俺は無視して、話を進めた。

「リカ、加藤が情報の精査を終わらしてくれてる」

「リサ流石過ぎるよー」

リカはデータファイルを確認し始める。

「リカどうだ?行けそうか?」

「ハヤっちさー私を誰だと思ってんの?」

「リカだろ」

「分かってんじゃん!私なら余裕に決まってんじゃん」

リカは自信満々だった。

俺はセッティングの終わったパソコンの配信ボタンを押した。

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