ep8 守護者と危機
あの人たちのせいだ。 あの人たちのせいでみーちゃんが危険な目にあってしまった。 ただでさえ一瞬目を離しただけで行ってしまう様な姉だ。 でも案外近くにいることも多いしこの辺にいるはずなんだけど……
横を見るとちょっと狭いビル裏があった。 ここにいる、何故かそんな気がした。 どうかどうか安全でいてくれますように。 そう思いながら、ゆっくり入った。 スカートの腰部につけてる水鉄砲を引き抜いてゆっくりと中へ入っていく。
少し奥に進んで道が狭くなったところ、ふと小さな声が聞こえた。
「……けて、ゆーちゃん 」
「え? 」
左を見ると水色の丸いゴミ箱の横に小さく体育座りしているみーちゃんがいた。
「みーちゃん、大丈夫? 」
「え……? あ、ゆーちゃん…… 」
私を見るなりみーちゃんは大粒の涙目尻にためて嗚咽を漏らして泣いてしまった。 私はみーちゃんをギュッと抱きしめ背中を擦る。 彼女の体は震えていた。 目立った外傷も制服に傷はない。
「無事で良かった…… 」
「うん……うん! 」
彼女は胸の中で縦に首を縦にふる。 少し落ち着いたみーちゃんの腕を掴んで立たせる。
「じゃあ、帰ろう 」
そう微笑んだ、その時だった。 首元に筋肉を貫通する痛みが走った。 電気ショック、高威力の……
「帰れるといいな、お家に 」
「ゆーちゃん! ゆーちゃん!起きてよ、ねえってば! 」
沈みかける意識が少しずつ戻ってくる。 それとともに戻ってくるビリビリとした痛み。 体はまだ動かない。 気づけなかった、みーちゃんが泣いていた理由。 誰かに襲われたのだとしたら近くに危ない誰かがいることを。
「さあ、みーちゃん。 こっちおいで、一緒にアソボウよ 」
「嫌だ! 君たちなんかと絶対遊ばないし大嫌い! 」
「そんなこと言ってるとまたお姉ちゃんに
電磁警棒、風紀会だけが唯一犯人拘束のために用いることを許可された拘束武器。 相手の筋肉を電気で収縮させて身動きを止めるものだ。 ただの電流ではなく人の脳波に反応し電圧や電気を飛ばすこともできる簡易的な能力付与道具だ。 一般に流通してることは基本ないはずだ。
もう一人の姉、渚が本片手にそう言っていたのを思い出す。
ぶうううん
視界に青白い光があふれる。
「恨むならみーちゃん恨みな 」
「助けて!助けて!だれか! 」
恨まないよ、みーちゃんさえ無事なら。 目をギュッとつぶる。 感じたのは痛みではなく吹き飛びそうなほどの突風だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます