第5話ダブルワーク

スズラン 放課後






「確かに受け取ったわ。明日までに数えておくからね」




「はい。明日もおねがいします。」




先ほどのパン屋の女性に今日の売上金を渡して分かれた。




私はそのままいつもの喫茶店へと向かう。




その理由は今日のお給金でコーヒーを飲むためではなく・・・・




「いらっしゃいませ~」




ウエイトレス姿の私は笑顔を振りまいて挨拶をしていた。




放課後はここで働かせていただいている。




「スズランちゃん、バニラアイス~」




「こっちはコーヒーゼリー」




「わかりました」




学園販売所に比べればこちらは比較的平和だ。




4年前に頼み込んで雇っていただいて、最初は厨房で皿洗いからはじまり掃除になりテーブル拭きになり、そして2年前にオーダー取りを許された。




むしろ4年間も働かせていただいてるので顔見知りも多い。




たまにデートでもという男の人もいるけどすべてお断りしている。




惹かれる人がいないのもあるけど・・・・なによりお母さんを助けたいから・・・




お母さんが帰ってくるのが19時半くらいなので19時に上がることになっている。




「店長すみません、いつものお願いします。」




「あぁ、わかってる、もう準備できているよ。」




そういってバスケットと今日のお給金を受け取る。




いつも3時間ほど働くのだが賄いを受け取って晩御飯にしている。




「ほんとえらいねぇ・・・・私の学園に通ってる頃は働きたくなかったけどねぇ。」




「母子家庭なので少しでも力になりたいんです。」




「そっか、今日もお疲れ様、明日もよろしくね。」




そんなやり取りの後帰路についた。

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