11-2.

　「正直、そんな風にして妻と夫の立場を入れ替えて、なんて、

考えてもみなかったな。

　聞いてて、心臓がバクバクしたよ」

　「垣本さんにちゃんと想像力というものが備わっているのが

分かってほっとした。

　実はリアルな実例を知ってるの。

　恥ずかしながら、遠い親戚筋の話なんだけども。

　学生時代から付き合ってた彼女と親戚の子が結婚したのね。

　名前はちょっとアレだから伏せさせてもらって、Yくん

とK子さんっていう設定で話すわね。

　Yくんは次男でK子ちゃんは長女・・だったため、Y君は

K子ちゃん家に養子に入ったの。

そこはね、K子ちゃん、妹のM子ちゃんにご両親、そして祖父母との

同居ってことだったの。

　すごいわよねー。

　6対1よ。

　Yくんがどうなったかなんて、言わずもがなのことよ」

　「えーと、どうなったのかな? 」

　「えー、分かんないの? 」

　「え～と、ストレスで胃潰瘍になったとか? 」

　「ブッブー」

　「え～と、ストレスから家出をして逃げ出した」

　「う～ん、、っと、ブッブー。

　　ほんと、いっそのこと逃げ出せばよかったのよ。

　　奥さんと子供連れてね。

　　なのに、Yくんは一番下手な手をうっちゃったの」

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