第106話 年上の女がツンデレするのを愛でたいタイプなんです私。(友美)

「な、なぜだ。。なぜこの女は、ブラウンと寝ているのだ・・・?」


 寝不足だったブラウンさん。2時間爆睡したあとに目を覚ましてみると、隣ですやすやと眠る友美の顔が目の前にあった。


「ち、近いではないか、、ちょっと寝返り打ったらキスしてしまう距離だぞ!あれ!?ブラウン、ローブ着てない!」


 心臓バクバクのブラウンさんは、そっと友美から離れようとする。しかし、これは百合の物語である。簡単に離れたらなんのキュンもないではないか。寝ている友美は無意識に片腕をあげると、キャミソール姿の華奢で色白な身体を抱き寄せて胸元にすっぽり包み込んだ。


「ふぉーーーっ!!??やめろぉぉぉ!離せぇぇぇ!!柔らかいではないかっ!!胸~~~!!!」*建前と正直がせめぎ合うブラウンさん。


「・・・ん、、うるさっ・・・。んんっ?」


「おいっ!離せっ!あん、、背中撫でないでっ!ソコはブラウン弱いんだ、か、らぁぁぁん!!」*楽しそうなブラウンさんである。


「ん、どうしたのブラウンさん、艶めかしい声だして、、。あ・・・ごめんなさい。一緒に寝ちゃったみたい。」


「いいから離せっ!ブラウンはもっと、ムードを大事にっ、、っていうか、雑なのは嫌!!」


「はいはい、起きますよ。っていうか覚えてますか?ブラウンさん、階段で気を失ったんですよ。ここまで運ぶの大変でしたぁ。」


「ふ、ふん。べべ別に?助けてくれとか言ってないし?そっちが勝手にやっただけだし?まぁ、助かったのかもしれないけど?お礼にお茶くらい出すけど??」*ツンデレの鏡のようなブラウンさん。


「いえ、もう行きます。仕事しないと。っていうか、ブラウンさんって、、何者なんですか。その顔・・・。その辺のアイドルより可愛いじゃないですか。」


「え、お茶すればいいのに、、、って、え?・・・・うわぁぁぁぁ!!!ま、まずい!!ローブ着てないんだった!!おいっ!目を見るな!!っていうかもう遅いか!!」


 ブラウンの目には魅了の力がある。目が合えばどんな生物もたちまちブラウンさんに恋をしてしまうのだ。もうバッチリと目が合ってしまっている。仕方ない、魅了を解いてやろうとブラウンさんが友美に近寄ったその時、、


「ほら。まつ毛とかちょー長い。肌もプルプル。わ、すべすべじゃないですか。すっご、メイクしてなくてこれ??!」


 友美はブラウンさんの頬を両手で触ると、じっと顔を覗き込んだのだ。そう、今二人は0距離。ブラウンさんはツンデレだから認めていないが、ちょっと前から友美にきゅんだ。もう、、二人の恋のジェットコースターは、レールを外れて、、銀河へと、、、


「と、友美、、そんなに見つめちゃ・・・いやん・・・」


 ブラウンマッシュルーム氏。謎の多い占い師である。しかし今、寿子というただの女の子に戻りかけていた。


「じゃ、そろそろ行きますね。寝不足なんだからもう少し寝てくださいね。後で草村さんにお粥でも作ってもらいますから。」


「え、あ、うん。れれれ?なんともないの??」


「何がですか??」


「いや、、なんでもない。ブラウン、寝る。」


 モゾモゾと毛布にくるまり芋虫のように隠れたブラウンさん。そして友美は仕事に戻って行った。



 あれ?ブラウンの魅了、効いてないの??前は効いてたよね?あれ?


 そうなのだ。友美は以前にもブラウンさんの目を見てしまい、魅了の力をブラウンさんが解いていた。今まで2度この魔法にかかった人はいなかった。


 もしかして、、免疫がついたの・・・?


 そうなのだ。一度かかったら二度とかからないウイルスに対する「終生免疫」。それを友美は手に入れていたのだ。


 つまり、、ブラウンの魅了はもう効かない。。つまり、、友美にとってブラウンは魅力的じゃない、、つまり、、友美はもう、、ブラウンを好きにならない、、、。チーン。


 恋に関しては恐ろしくマイナス思考なブラウンさんだった。だがしかし、これを機にブラウンさんは、友美にだけは素顔を見せられるようになったというエモい事実に気づいていないだけだ。私の目を見ることができるのは貴方だけなの節を語れるようになったのに、、布団の中でうるるんお目目になっていた。


 その頃。梅沢家の調理場では、、


「草村さーん。あれ?いないのかな。っていうかマジで誰もいなくない??」


 えー、仕事しなくていいってこと?じゃあ、まぁ。久しぶりに五条が閉じ込められたあたりから読み返そうかな。その前に、、ブラウンさんに雑炊作って持ってくか。草村さんいないし。


 っていうか、、すごい可愛かったな。ブラウンさん。私はまぁ、桃子さんみたいな大人の綺麗系が好きだからアレだけど、、。それにしても、可愛かったな。。


 いや、あの可愛さなら、、付き合えるなら付き合いたいくらいだな。。あのツンデレ具合もポンコツすぎて可愛いし。


「雑炊作ったら、ブラウンさんの部屋で漫画読もう♪」



 友美、可愛い可愛いブラウンを、愛でると決めた瞬間だった。


 

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