第91話 安納芋が一番人気。

 ある日の朝。

 夕が目を覚ますと、隣に寝ているはずの桃子がいなかった。


「あれ?起きてるんだ。まだ6時だよ、、珍しいな。どこだろ?」


 寝室から出て、リビングへと向かう。豪邸なので大手町駅から東京駅の乗り換えかと思うほど距離がある。そのため、全員にキックボードが配布されているが夕は自転車にも乗れない子なのだ。


 よって、夕はスフィンクスを呼び出す。そしてサイドカーを装着して乗る。背中に乗ると落スフィンクスしがちだから…。


「ぶぉんぶぉーん!特急止まれなくてすみません号~!(⁎˃ᴗ˂⁎)」

「安全運転でいいわよ?…ん?なんだろ…クンクン…?焼き菓子のような匂い…?」


 しばらくすると、甘い匂いが充満してきた。どうやら庭からのようだ。


 夕が庭に出てみると、予測しない事が起きていた。


「え!?な、なに?これは一体っ…!」

「あ、夕。おはよ!寝癖と驚いてる顔のコンボ、かわいいね!(⁠人⁠ ⁠•͈⁠ᴗ⁠•͈⁠)♡」

「え、あ、桃子。ありがと。っていうか、なにこれ?ケータリングカー??」


 梅沢ハーレム屋敷の正門前には、数十台のケータリングカーが停められ、なにやら騒がしく人が動いていたのだ。


「あ、夕様。おはようございます。お騒がせしてしまい申し訳ありません。」

「草村さん、、これは一体…。」


「本日より、桃子様出資、この草村が代表を務めます、スフィンクスの足跡焼きちゃん倶楽部のケータリングカーが始動するのでございます。初日ゆえ、このように一同が集まっております。お許しください。」


「安心して、夕。この人たちは皆、草の者組合の人だから、身元はしっかりしてるし、能力も底なしなんだ!(⁠。⁠•̀⁠ᴗ⁠-⁠)⁠✧ピーチバチコン!」


「そ、そう…。すごいね、やるとは聞いていたけどここまで本気とは…。」


 とそこへ、草の者の数名が草村さんの元へ集まると片膝をついた。


「総長っ!そろそろ出陣の命をっ!」

「よろしい。ここに集わせなさい。」


 総勢、30名ほどの草の者が集まると、草村さんはハーレーに跨った。後ろには、アギョーとウンギョーのイラストが描かれた旗が…。


「すぅ・・・( ✧Д✧) カッ!!すぇいやぁーーーっ!!皆のものぉぉぉぉ!!!!!!かぁくごは良いかぁァァァ!!」


夕「(⁠⑉⁠⊙⁠ȏ⁠⊙⁠)え、何事!!?」

桃子「(⁠‘⁠◉⁠⌓⁠◉⁠’⁠)かっちょいー!」


草の者「ヴォぉぉぉぉぉ!!!ラーバンピッ!!ラーバンピッ!総長〜!!」


夕「え、なにするのこれから…走り屋?」


草村総長「行くぞぉぉぉ!!!!売れきれるまで帰ってくるなぁァァァ!!出陣ンーーー!!!」*ブラックな代表取締役総長の草村さん。


 ブォンブォンっ!ブォーーンっ!!


 ーーーーーーーこうして、草村さんの乗るハーレーを先頭に、スフィンクスの足跡焼きちゃん倶楽部のケータリングカーは、各ケータリング会場へと走っていった。。


夕「す、すごいものを見てしまった…。え、法律とか大丈夫なんだよね?」


桃子「うん。その辺はちゃんと優良企業だよ!」


 その時だった。2人の背後から声が。


「桃子様、夕様。おはようございます。」

「ん、え。うわお!草村さん!?」

「妹の草村でございます。出勤致しました。」


 草村さんは双子でうり二つの妹がいる。交互に梅沢家に出勤しているが、まったく同じ顔なのでだれも別人扱いせずにいた。


「あーびっくりした。草村さんか。おはよ!」

「おはようございます。桃子様、さっそくですがご相談がございます。」

「ん、なあに?」

「姉の草村が当面、忙しくなりますゆえ、家政婦業に支障がでかねません。それで、私の娘がちょうど高校を卒業致しまして、草の者の検定試験も合格致しましたので、、こちらで姉の代わりに雇っていただけませんでしょうか。これ、こっちにおいで。」


 草村さんが呼びかけると、門の外に待ち構えていたらしき女性が姿を現した。


「は、初めまして!草村と申します!よろしくお願いします!」キュルン!


桃子「うわ、かわいい!あどけない!!」

夕「やだ、かわいいっ!」

メジェ「ヤダ!カワイイィィ!」*嗅ぎつけたメジェ。


 メジェ君の心の声*読みやすいように訳してあります。


 な、なんてことだ・・・。ま、まさか。いつかハーレムに加えたいと思っていた、、ツインテール女子が現れたしまった。。


 ツ、ツインテール、、前髪ぱっつん。。赤ちゃんのような肌、、そしてぷっくりとした唇・・・。お、推せる・・・こ、これはっ!神様が与えし、、人類の宝っ!*この人は神です。ありがとうございますありがとうございます・・・


「オ、オイデ・・・。パ、パフェヲ作ッテアゲヨウ・・・。」

「え、う、うん。」

「サァ、キッチンヘイコウネ。」

「え、まだご挨拶が、、ああっ」シュンッ‼


 メジェ君は、思いがけないツインテを見つけて、キッチンへと瞬間移動で連れ去った。


「あ、行っちゃった!」

「まぁ、いいか。人不足だし。では草村さん。娘さんも採用と言うことで。」

「ありがとうございます。私が一流の家政婦、そしてくノ一に仕上げますので・・・。」


 こうして、また梅沢家に新しいハーレム要員が増えたのであった。



 続く。


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