第2話
すると、他にも数人の生徒が同じような経験をしていたことがわかった。被害者たちはみな、大切な本がなくなったことに気づいた時点で、誰かによって棚から取られてしまったのだと思っていた。
私たちは情報を整理し、被害者たちが共通して訪れる場所や関係性を分析した。すると、彼らが利用している学園内のカフェで何か手掛かりが得られるかもしれないという結論に至った。
カフェに向かう途中、私たちは目に留まることがあった。それは、美咲さんが図書館から出て行く際に、ひそかに後をつけていた生徒の姿だった。その生徒は華奈(かな)という名前で、学園でも目立つ存在だった。
私たちは華奈に近づき、彼女がなぜ美咲さんを尾行していたのか尋ねた。最初は動揺した様子を見せる華奈だったが、やがて告白した。「私、本がなくなっているのを見つけたんです。でも、他の人には言えなかったんです。美咲さんが本を取っている姿を見たので、追いかけてみたんです」
私たちは驚きながらも、彼女の証言に耳を傾けた。「では、美咲さんが本を取っていた場所はどこだったんですか?」と綾音が質問すると、華奈は指さすようにしてカフェの方向を教えた。
カフェに到着すると、私たちは店内を注意深く観察した。すると、棚から本を取り出している様子を目撃した。瞬間、私たちは犯人を特定した。
犯人はカフェの従業員で、名前は横山(よこやま)という男性だった。彼は本を盗んでいたのではなく、あくまで整理整頓のつもりで本を棚から外していたのだと明かした。
「私はカフェの本の整理をしていたんです。棚に戻されていない本があると、それを確認するために外してしまっていたんですよ」と横山は説明した。
美咲さんが本がなくなったと思ったのは、横山が整理中のタイミングで外していた本だったのだ。
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