第13話 -骨-

しばらく歩いていると、音が鳴る

「カラッコロッ」

そんな軽いものがぶつかり合ったような音がする。

こんな霧の中、そして異世界のようなこのゲームにあるものといえばそれは

「スケルトン……」

僕はその姿を確実に捉える。

流石に子供もできるゲームなので、現実の骨とは多少違うが、それでも不気味だ。

たしかに不気味なのだが、僕にはもう一つの感情が湧き上がる。


「戦闘のお時間だ。」

そう呟くと僕は速攻近づく。

僕も確かに遅いが、敵は骨だ。

もっと遅い!

僕は手に持つ剣を振る。


その攻撃は当たる。

【42ダメージ!】

そして敵は崩れる。

のだが、消えない。

そのことに疑問を感じていると、敵は動き出す。

みるみるうちに人の形になってしまった。

「たお……せない……?」

無理だろこれ。

アンデットだから聖属性とかのなんかが必要とか?

そう思考を巡らせていると、あるものが目に入る。

「魔石……」

スケルトンの、人で例えるならば心臓のところらへんに、赤い石がある。

おそらくそれを潰さないといけないとかそういうのだろう。

ならば、一度崩さないといけないな。

近づく。

だが、流石に敵も反撃してくる。

手に持った剣を振り下ろす。


でも、人様には勝てないのだよ。

その攻撃は遅い。

当たるわけがないそう思い、少し横に避ける。


「ガハッ」

突然、視界が揺れる。

気づけば僕は他を張っていた。

え?なんで?怖いんですけど?

確実に避けたその剣は僕の隣にある。

絶対当たってない、そう思いたいが、当たってなければこうはならない。

でもこの世界はゲームだ。


僕にもある力、スキルだと、直感的に感じる。

なるほど、剣系のスキルに範囲攻撃があってもおかしくない。

そう思い、身を引く。


一度崩してしまえば、魔石を切れば良い。

初めに崩せたではないか。


そうして、もう一度近づく。

今度は速攻でかたをつけてやる。

そう思い、この手に持っている短剣を投げる。


「ふぇ?」

そんなことを発してしまう。

仕方がないだろう。その投げた短剣はあられもないところに飛んでいってしまったのだから。

DEXが足りない!!


そして、僕は気が付かなかった。

その飛んでいった短剣に釘付けになっているうちに敵が近づいてきているということに……



「負けたーー。」

僕は街の中央広場にいた。

「あ!僕の短剣は!?」

咄嗟にアイテムボックスを確認する。

良かった入っていた。

流石にアイテムは壊れるまで消えないようだ。

死んでも安心だね!


いやぁでも、やっぱ思いつきはダメだね。

成功するわけがない。

そう、1人で反省会を開くのだった。

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