カレントノイズ

第1話 煌

　ここは、ユートピア。

　花木に富み、食べ物、水も美味しい。

　物はコストゼロで製成され、当然、お金など必要無い。

　生きる事に逆らう向かい風の吹かない世界。

　人類が皆、好きなことをして過ごす世界。

　ある人は歌い、ある人は詩を書き、ある人は踊り、ある人は絵を描き、

　そして、誰しもが誰しもに否定する理由の存在しない世界。

　そんな世界に、ある少女は暮らしていた。

蒼く澄んだ瞳と、ロングの赤い髪、その相対的な色合いが共に際立たせ、

一度見た者に、一目で印象を植え付けさせる。その少女の名前は煌（キラ）。

　澄んだ瞳で、今日の景色を笑顔で眺めた。

　「皆！今日も良い天気だね！」

　両手を口に添えて、煌は人々の方へ叫んだ。

　煌への挨拶が飛び交う。

　今日も良いユートピアだ。煌は、自分に向けられた沢山の笑顔、まるで笑顔の花畑の様な景色に、そう思った。