第15話 最初の一歩
ただ、ひたすら引き篭もり、食事もルームサービスを使い少し余裕をもって10日間。
ファルコンアイのぐるぐる円盤を見て、ストロングイーグルで握力を鍛え、奥義書をひたすら読んで覚えた。
そしてストロングマシーンで体を鍛えた結果。
驚く事に世紀末を生き抜くヒヤッハー位の筋肉はついた。
リンゴを砕き、クルミを砕く、多分前の世界なら強いんだろうな…
だが、この世界には魔物が居る。
どの位通じるのか?
それを検証する必要がある。
その為に俺は…教会に足を運んでみた。
水晶による測定をした人間の容姿が司祭に見えたからだ。
「中央教会にようこそ! 本日はどう言ったご用件でしょうか?」
「実は」
俺は自分が異世界人であり、無能である事…その後、それなりに訓練をした事を話し…自分の力がどの位上がったか測定する方法が無いか聞いてみた。
「水晶の儀ですね…それなら教会でも冒険者ギルドでも行っておりますよ?ですが銀貨2枚と少しお値段がはりますが宜しいでしょうか?」
その位で済むなら…測定した方が良いだろう。
「お願いします」
「畏まりました」
銀貨2枚渡して見た俺の能力は
理人
LV 1
HP 200
MP 14
ジョブ:上級拳士
スキル:翻訳、アイテム収納(収納品あり)、拳法、経絡秘穴突き、酔拳、見切りの極み(常時)、剛力
エクストラスキル: 偽りの真実(過去に両親、当人が騙された物限定 ※他人には見えない)
強くなっている気がする。
以前よりはかなりマシなステータスになった気がする。
「以前よりは随分とマシになった気がする…あのこれってどの位の実力なのでしょうか?」
「どれどれ、おおう、凄い、さっき無能と言われましたが、なかなかの才能ですよ」
「そうですか…ありがとうございます」
「ただ、これはこの世界では『なかなか』のステータスですが、恐らく異世界人と考えたら恐ろしく低い数値です…あと無能からの脱却おめでとうございます…ですが『拳士』は滅多に手に入らないジョブですが…そのかなり不利なジョブなので気をつけて下さい。スキルは…流石異世界人、あまり見た事が無いですね…努力されたのですね、無能からジョブ持ちになれた方は少ないですから奇跡に近いですよ…多分冒険者としてなら生活は出来そうです」
前の世界のカンフーマスターの力でその程度なのか?
良く考えて見たら幾ら強くても人も魔物も殺して無い人間と、戦いが日常の人間。
案外、そんな物かも知れない。
あとは実戦でどの位強くなれるか…その辺りを考えるべきだな。
◆◆◆
冒険者ギルドに来た。
「いらっしゃいませ…今日はどう言った依頼ですか?」
まぁ、無能だったんだから『受ける側』だとは思わないよな。
「それが、頑張って訓練したらジョブが手に入ったので、ちょっとした訓練と能力の見極めをお願いしたいのですが」
「ああっ、訓練ですね3時間で銅貨3枚ですけど宜しいですか?」
「随分と安いんですね」
「新人の育成も兼ねていますので、お安くなっております。それでは裏庭の訓練場でお待ちください」
「はい」
俺は銅貨3枚を払い、裏庭の訓練場に向かった。
◆◆◆
「俺が今回お前の訓練と見極め役を受けたギースだ、まぁB級冒険者だ!宜しくな!」
筋肉だるま…そんな感じのおっちゃんだな。
「理人です! 宜しくお願い致します」
「それで、お前なんで武器を持っていない訳? もしかして木剣でも使うのか?」
「いえ、ジョブが拳士なので素手でお願い致します」
「そうか…だが普通は冒険者は素手で戦わないから俺は木剣を使わせて貰うが良いか?」
「構いません…お願い致します」
「そうか…それじゃどこからでも掛ってきな」
凄い…スキルのせいか経絡秘穴が見える。
「ちょわーーーっ」
「なんだ、その掛け声は? 」
何故か声が出てしまったが…思った以上に動ける。
「これは、俺の故郷の戦いのときの掛け声です」
「まぁ良いよ…ほらよ」
見える…
まるで自分が加速した時間に居るみたいに…ゆっくりに見える。
これなら簡単だ二本抜き手で見えている秘穴を狙う。
がら空きのおへその近くの秘穴を突いた。
これでどうだ!
「なんだ?! 俺の腹の横を突いたようだが、あいにく鍛えているんだ…その程度じゃ…ああっ痛ぇぇぇぇぇぇ」
どこぞの漫画みたいな事には成らないようだが、かなりの苦痛のようだ。
漫画とは全く違う。
秘穴は、鍛えられない人体の急所みたいだ。
まぁ解っていたが…目や喉、へその穴、脇の下をはじめとする鍛えられない場所を的確に突くそういう技だった。
「いぇぇぇぇぇーーーいぃ」
喉ががら空きだった。
そこをめがけて二本抜き手で突きにいった。
木剣で躱そうとしたみたいだが…完全に止まって見える。
いける…いけるよ…これ。
躱そうとした木剣を躱しそのまま喉をつけそうだったが…
「身体硬化」
嘘だろう…喉を突いた感触がまるで石でもついた感覚だ。
体を鍛えてなければ指がおしゃかになったかも知れない。
「嘘だろう」
「あぶねー、今のは凄かったな『身体硬化』で喉を固めなければヤバかった」
だが、これで終わりではない。
俺の指は自然と脇の下の急所を狙い突いていく。
「まだまだーーっ」
それもかわされたが、そのまま軌道修正をし肋骨の内側を抉るように突いた。
全然、自分がイメージした物と違う。
恐らく、こういう拳法が何処かにあって、それに寄せられたのかも知れない。
良く考えたら秘穴…文字が違う。
「嘘だろう…うぐっ…なんだその技は嫌らしい位にこちらの攻撃をかいくぐってくる」
「そう言う技なので…」
結局、勝負はつかないまま時間が過ぎていった。
◆◆◆
「理人なかなかやるじゃないか? 実力的にはB~Cランク位の実力はある…だが素手なのは問題だ拳士用の武器を作る必要がある…まぁ実績を積まないと冒険者のランクは上がらない…だが、充分冒険者としてやれる…依頼を普通に受けられるように言ってやるよ」
「ありがとうございます」
「頑張れよルーキー」
俺は今、ようやく一歩を踏み出したのかも知れない。
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