第74話 新たな仲間3

エリーナの事情をある程度聞いたことだし、本格的な修行は明日からにしようと思う。今後の育成計画を考えないことには先には進めないしね。


ということで、私たちは一旦フロンダへと戻った。



「じゃあ明日の朝、私の宿屋の前で待ち合わせね。それじゃあ解散!」


「了解した」



私はエリーナの今後の育成計画を考えるために宿屋へ戻った。弟子ということは私がある程度、好き勝手に育てることが出来るということだ。


実を言うと先程エリーナの話を聞きながら、私はこっそりスキル《鑑定》を使用していたのだ。


基本的にステータスは個人の能力値なので、こっそり盗み見るのは気が引ける。マナーとして許可なく見ないようにしている。


しかし、弟子ということであれば話が変わる。例えばステータスを知らずに物理系の修行をしたが、実際は魔法系の能力値のほうが高かったとなれば、目も当てられない。育てる方向性の参考にステータスは重要なのだ。


とはいえ、この世界の人たちはそもそもステータスという情報を知るすべがあるのだろうか。


私が思うに、たぶんないと思う。もしあったとしても一部の人たちしか知らないのだろう。


エリーナのステータスを見てみると・・・


ーーーーーーーー

名前:エリーナ=ロンダルタント

年齢:19歳

種族:人間

性別:女


レベル:67

HP:342/342

MP:146/146

力:120

生命力:143

知力:72

器用さ:56

素早さ:108

運:63

スキルポイント:75

ーーーーーーーー


なんとスキルポイントが余っているのだ。奥義スキルを修得しているので、スキルポイントは残っていないだろうと思っていたけど、どうやら違うようだ。


私みたいにスキルポイントを消費してスキルを獲得するのが普通だと思っていたけど、この世界の人たちは日々鍛錬することで動きを徐々に体に馴染ませて、地道に修行をすることでスキルとして昇華してきたのかもしれない。


となると、私はすごくスキルポイントを無駄に消費してしまった感がある。


もっと早く知りたかったな。


スキルポイントを増やすために、危険をおかしてわざわざレベルを上げる必要はなかったということだ。でも、師事してくれる人がいなかったから結局は仕方のないことだけどね。


とはいえ、もしもスキルポイントというものを知るすべがあったのならば、使わない手はないだろう。




話を戻して、育成計画をどうするか。


手っ取り早く強くするためには、まずはレベルを上げることだろう。レベルが上がれば能力値が多少なりとも上がる。


この世界のレベルがどれくらいが普通なのかはわからないが、私の感覚ではエリーナのレベルはまだまだ低い。


レベル100未満だと、辺境の森の奥地はまず不可能で、中間層ですらすぐに死んでしまうだろう。おそらく浅瀬から中間層に向かう途中で限界がきてしまう。


辺境の森というのはそれほどまでに厳しい環境なのだ。



レベルを上げるのは必須として、細かい能力値は『知力』よりも『力』の方が高いので、魔法ではなく物理よりで鍛えるほうがいいだろう。でも物理一辺倒にするのは味気ないので、スキルポイントを使って多少なりとも魔法を覚えさせてもいいと思う。



ただステータスの中で1つ気になることがある。

『器用さ』が低いことだ。



例えば『剣で斬る』という動作。


『力』が高いと『押す力が強い』ということで、斬るというよりは剣で押しつぶす感じになり、その結果として斬れる。


『器用さ』が高いと斬るときの『力の込め方』が上手くなるので、剣を入れる刃の傾きや接触箇所を上手く扱うことで、その結果として斬れる。


もちろん武器そのものの切れ味というのも影響を与えるが、ステータスの影響としては今の通りだ。



つまりどういうことかというと、エリーナは剣の扱いがまだまだ甘いということだ。おそらく力を込めて素早く動かすことで今までは斬ることができたのだろう。


だが、辺境の森の魔物相手だとそのやり方では魔物が倒せないという壁にぶつかることになる。この辺も矯正していかなくちゃいけないな。



そんなことを考えながら今日1日を終えた。

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