833. 『蜘蛛の綿雲』系列店コンテスト終了

 その後もいくつかの作品が面白そうだったので、私と一緒にアレンジをしてヴァードモイで発売することにした。

 そういった作品は年代別の中でもさらに細かく販売層を絞ることで特化した作品である。

 ほかの街で売るには人口や商業規模的な問題があるだろうけど、ヴァードモイでなら売れる可能性がある。

 見込みがまったくないならアリゼさんたちが止めるはずだからね。

 私が誘いアリゼさんが止めなかった作品は『支店ではともかくヴァードモイでなら売れる可能性がある服』ということだ。

 思いがけずいろいろな作品に出会うことができた。


 こうしてコンテストは幕を閉じ、閉会式代わりの立食パーティが開催されている。

 コンテスト中は緊張していたみんなも、いまはその緊張から解き放たれて食事やコンテストの感想で盛り上がっていた。

 明日になればそれぞれの街に戻っていくのでお別れ会でもある。

 今回私の目に止まった子たちはヴァードモイに残って作業をするけど、それ以外の子たちは元の街に戻ってお仕事再開だ。

 彼女たちもいまは立派な店員なのである。


「リリィ様。今回は私の作品を選んでいただきありがとうございます!」


 私がのんびり会場を眺めていると、そんな声をかけられた。

 この子は私が選んだ作品の制作者だ。


「ううん、気にしないで。それはあなたの作品が良かっただけのことだから。それよりも、明日からは私の下でしっかり働いてもらうけど、大丈夫?」


「はい! 店長には頑張ってこいって激励してもらえました。これから3カ月間よろしくお願いいたします!」


 私が選んだ子たちはこれから3カ月間鍛えることになっている。

 それはデザインや魔法裁縫の技術だけでなくエンチャントの技術もだ。

 こういってはなんだけど、エンチャントの技術がなかなか伸びない理由を探るためでもある。

 彼女たちが学んでいく中で苦労している点をピックアップして教本に反映させるのだ。

 もちろん、これらは彼女たちにも許可を取っている。

 彼女たちも仲間に自分たちの技術の一端が伝わればいいと本気で考えてくれているようだ。


 彼女以外にも今回私が選んだ作品の制作者から声をかけられたり支店長クラスの子から自分のところの子をお願いしますと頼まれたりしながら宴は進んでいく。

 これが終わればまたみんな別々の場所で働くのだから、いろいろな思いがあるのだろう。

 でも、それが働くということだ。


「アリゼさん、このコンテストって定期的にできませんかね?」


「そうですね。特に問題はないでしょう。ただ、彼女たちもお店の経営があります。頻繁に、とはいかないでしょうね」


「そうなると、客足が落ちる冬場だけになりますか」


「それがよろしいでしょう。毎年冬に開催するのがよろしいかと」


「わかりました。それでは毎年冬の開催ですね」


 私がみんなにそれを伝えると、会場は大盛りあがりだった。

 一年に一度はみんなで会えるのだし、自分たちのオリジナル作品を披露する機会があるのである。

 この上なく嬉しいのだろう。

 来年もまた頑張ってほしいね。


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