831. 『蜘蛛の綿雲』系列店コンテスト開始
懇親会が終わり、コンテストが始まるとみんなの顔が引き締まる。
ここから先はみんなライバルだ。
緊張もするだろう。
コンテストは全員が観覧しながらの審査となる。
時間はかかるが、複数段階の審査を行うわけではないのでちょうどいいだろう。
ほかの人の作品を見て自分の作品にも活かせる部分が出てくるだろうしね。
というわけでコンテスト開始だ。
1番目の子から順に自分の作製した服の長所などを説明してもらう。
審査は見た目やコストだけではなく、作った本人が長所を把握しているか、長所を活かしているかも審査対象だ。
で、1番目の子なんだけど。
アリゼさんから鋭い指摘が飛んだ。
「コストが安く仕上がっているのは素晴らしいです。ですが、この作品はそれだけのように感じました。安いことが長所というのでしたらそれなりには売れるでしょう。実際、『蜘蛛の綿雲』系列の店の最大の利点は魔法裁縫による人件費の少なさです。そこを活かした服だとは思います。ですが、それだけではお客様にアピールできません。もう少しコストを掛けても大丈夫ですので、積極的によいところを作るといいでしょう」
私からも補足しておこう。
「その服装だと、春でも寒い日には対応しきれないですよね? ケープのようなものを別売りにして対応するといいと思います。色違いのケープを売れば組み合わせで楽しんでもらえるでしょう。元の価格が安くできるので、ケープの代金を含んでも普通の服1着よりも安くできるはずです」
うん、コストが少ないということは布面積も少ないんだ。
春に着ることを想定すると、少し寒そうである。
そこにケープを足すことでちょうどいい感じになりそうなのだ。
ケープもバリエーションを揃えれば選ぶのが楽しいはずだし。
その子はそこまで考えついていなかったみたいで、お礼を言ってから舞台裏に戻っていった。
アドバイスを素直に受け入れられるのもうちの子たちのいいところだね。
そんな感じで審査をしていくと、やはり若い女性部門はちょっと露出が多いというか薄着な服が目立つ。
各地に散った子たちは確かに温かい方に行った子もいるけど、全体的にヴァードモイとそんなに気候的には変わらないはずだ。
つまり、春でも寒い日は寒いのである。
夏用の服ならまだしも、春用にしてはちょっと薄着かな。
ただ、薄着なのを利用してもう一枚重ね着を前提とした服を用意する子も中にはいる。
最初に私が指摘した子と同じようなことを指摘される前からしているのだ。
ケープ1着なら生地はあまり使わないし、なにより革素材からだって作れる。
とにかくバリエーションを揃えられるのだ。
そういった『選ぶ楽しさ』をこの段階からわかっている子たちもいるのである。
総じて、そういう子は支店長クラスなんだけどね。
いまのところ若い女性向け部門の半分くらいを消化したところだけど、尖った作品がない代わりに基本を押さえた作品が多い。
みんなの中に服作りの基本ができている証拠だ。
もっと種類が出てきてほしいところだけど、それは今後の課題かな?
いまのところは大満足な結果である。
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