696. 赤冒険者向け防具の作製

 今日は赤冒険者向けの鎧の注文が入ったのでそちらの対応である。

 サルタス商会本店で雇っている店員は、そちらの分野でもプロなので要望を聞くだけならお任せしてもいいんだけど、細かい部分については私も聞いておきたい。

 いまは男性向けも女性向けも作ることになっているから、女性向けだけでもそうしたいのだ。


 男性向けは専門のスタッフがいるので基本的にそちら任せである。

 なお、かなり腕のいい職人をアリゼさんたちがスカウトしてきた。

 納期的にどうにもならないときだけ私がヘルプではいる感じである。


 ちなみに、今日は女性冒険者だったので私が呼ばれたわけだ。


「ふむ。もう少し軽い方がいいと」


「ああ。私は機敏に動き回りたいんだ。それなら軽い防具の方がいいだろう?」


「ですが、それで身を守れなければ意味がないですよね?」


「そこをなんとかしてほしいんだよ」


 わりと無茶ぶりである。


 重い防具だからといって頑丈であるとは限らないが、重い方が頑丈なものが多いのは確かだ。

 軽い素材の代表格は虫系モンスターの殻になるんだけど、さすがに赤冒険者が扱う程の防具となると厚みが必要で、相応に重くなる。

 それでいて条件によっては割れやすかったりするので、上位冒険者向けの虫モンスター素材防具というのはあまりないのだ。


 ただ、私はその難問を解決できる手段をもっている。

 タラトのオーガスパイダーシルクである。


「……その布が防具?」


「はい。エンチャントをかけない状態でも普通の刃では切れませんし貫けません。ただ、どうしても衝撃は貫通してしまうので、そちらの対策は必要になります」


「そう言われてもな……。シルク1枚に命を預けるのは難しいよ」


「まあ、そうおっしゃらずに試してみてください」


「わかった。試すだけ試すよ」


 私はテスト用のオーガスパイダーシルクを手渡す。

 冒険者さんはそれを思いつく限りの方法で傷つけようとするけど、当然傷なんてつかない。

 剣で切ろうとしても槍で貫こうとしてもだめだ。

 最終的にはその冒険者さんの仲間たちまで参加して、規模の小さい魔法を使ってのテストも行ったが、焦げあとひとつつかなかった。

 これがオーガスパイダーシルクなんだよね。

 とにかく丈夫なシルクなのだ。


 そんなオーガスパイダーシルクの最大の欠点は、加工が難しいことである。

 槍でも傷がつかないということは、普通の針を通すのも難しいのだ。

 結論としては、かなり特殊な針にエンチャントを施すことで加工できるようになるらしい。

 でも、私はそこまでしなくても、えいやっで加工できるし、なんならそのあとの仕上げでかけるエンチャントでその針も通さなくする。

 針が通るってことは暗殺できるってことだからね。

 何事も用心することに超したことはないのだ。


 そのお客様は最終的にオーガスパイダーシルクのボディースーツを買ってくれたわけなんだけど、ここでもひとつ問題が。

 オーガスパイダーシルクって体のラインがぴっちりとでるから体型が丸わかりなんだよね。

 要するに、なかなかグラマラスな体型だったお客様の体型がより強調されることとなってしまったわけだ。

 そこはオーガスパイダーシルクの上に軽くて頑丈な甲殻製の鎧を着ることでカバーすることにしたみたいだけど、やっぱり恥ずかしいものは恥ずかしいみたいだ。


 それにしても、鎧下みたいなオーガスパイダーシルクが一番防御力の高い装備だとは誰も思わないだろうね。

 魔力伝導率とかを考え、魔法使いが魔法を使いやすくなるマナスパイダーシルクのローブは売ってるんだけど、単純に防具としての性能に割り切ったオーガスパイダーシルクのローブも売っていいかもしれない。

 あと、マントとかも需要がありそう。


 思えば、タラトが最初に進化する段階から選べた布なのにここまで強いんだから、かなり反則だよね、オーガスパイダーシルクって。

 便利ではあるんだけど、これってほかに取り扱っている商人はいるのかな……?


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