643. パルフェ車の追加装備
翌朝、朝食を食べて街道へと戻り、再びカタスティに向けて出発した。
今日は昨日出たこの車の追加兵装についての意見を交換する機会でもある。
真っ先に意見を出したのは、やはりというかラナさんだった。
「はいはい! 魔科学の機銃を付けましょう! 事前に魔力を充填しておけば、簡単には弾切れを起こしません!」
「さすがにそれくらい強力だと、周囲の自然にも影響を及ぼすのでは? あと、人質を取られたらどうするんですか?」
「それは、その……」
これをきっかけに魔科学技術を売り込もうとしていたんだろうけど、魔科学技術って魔道具よりもはるかに高出力なんだよね。
便利なものも多いけど、兵器転用すると加減が効かない装備になってしまうというか。
どちらにせよ、環境破壊に通じるので却下である。
「難しいですね。一般的な機銃などを用意してはタラト様の板でできた完全防護車両という利点が薄れます。ですが、なんらかの形で防衛装備を調えなければいけない。難しいことです」
ルミテ社の支社長さんがまとめてくれたけど、普通の装備だと、破壊されたときにタラトの防壁に穴が開くことになりかねないんだ。
タラトの防壁の外に作ろうとすると、自動発砲にしなくちゃいけないし、そうなると無関係な人を巻き込む可能性がある。
タラトの板は機銃を作れる程細かく加工をできないからね。
「ふむ、悩んでいるようじゃな」
「悩んでいますね。プラムさんにはなにか名案がありますか?」
「なに、殺傷力が必要な装備にこだわっているからおかしくなっているのではないのかと思うてな」
殺傷力は必要な装備……。
ああ、そうか。
私たちに必要なものは、相手を追い払える装備であって、相手を皆殺しにするための装備じゃないんだ。
なるほど、それは盲点だった。
「非殺傷兵器ですか。でも、パルフェの脚じゃすぐに追いつかれますよ?」
「それはパルフェが全力で走った結果を見てじゃな。それが早ければ閃光弾のような目くらましでも十分じゃろう。それが足りないのであれば……」
「足りないのであれば?」
「キブリンキ・サルタスたちの糸を発射できる装置を考案して、拘束できるようにするのが早かろう」
な、なるほど。
そこは本当に盲点だった。
キブリンキ・サルタスにも参加してもらって、発射するときは丸くてあまりべとつかない、発射後には広がって相手を捕まえられるほどの拘束力を持つネットを作れないか相談してみる。
結果、作ることは問題ないそうだ。
ただし、それなりの勢いで投げないとうまく開かないらしい。
そこで考案されたのが、ラナさんの魔科学による投射器である。
打ち出したいものをセットして引き金を引くと勢いよく発射される、それだけだがスピードが普通の投射器とは段違いに速い装備だ。
これを使えば追っかけてくる賊やモンスターをからめ取ることができるだろう。
動けなくなったあとまで面倒は見ない。
多分、動けないまま死ぬと思うけど、それは仕方のないことだと思う。
私もこの辺はドライになってきたものである。
ともかく、装備の原案は固まった。
この装備ならタラトの板で全面をコーティングでできるし、追加兵装として申し分ないだろう。
ヴァードモイのルミテ社支社に戻ったら研究してもらおうかな。
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