638. 続・コウとサザビー様の会談

「私たちの望みはダーシェ公国の持つ優れた魔道技術です。いきなりそのすべてを教えろなどということは申しません。せめて技術者を派遣していただけないでしょうか」


 コウ様の望みはそれかー。

 コウ様自身の望みとは思えないし、ヴァードモイ侯爵様の仕込みなんだろうね。

 でも、そんな簡単にいくかなぁ?


「要望はわかった。結論から先に言わせてもらえば、難しい」


「やはりそうですか……」


「どうやら、わかりきっていた内容だったようだな」


「はい。これだけ魔道技術に隔たりがあれば、その技術を輸入したいと言っても色よい返事はいただけないと考えておりました」


「まあ、その通りだ。我が国の魔道技術は門外不出の技術もある。そう易々とは渡せないのだよ」


 やっぱり、難しいらしい。

 私も無理だと思って魔道具の輸入は最初から諦めていたしね。


「だが、この場を設け、臆することなく要求を出してきたことは褒めよう。とはいえ、魔道具技術はやはり渡せないがな」


「いえ、無理をしていただかなくても」


「リリィ、お前のところに少し魔道具を売りたいと思うがどうだ?」


 あれ?

 私のところに火の粉が飛んできたぞ?


「リリィの商会であれば信用できる。小型の着火用魔導具や弱い虫系モンスターを追い払うための魔道具を取り扱う気はないかな?」


 着火用魔導具か……。

 前世でいうライターみたいなものかな?

 虫系を追い払うのって嫌いな臭いを出したりするものだろうか?

 タラトやキブリンキ・サルタスに効き目が出ないように調節する必要があるけど、取り扱ってもいいかもしれない。

 よし、この話、乗ってみよう。


「わかりました。私のところで魔道具を輸入させていただきます」


「うむ。魔道具とともにメンテナンスチームをこちらに送らせよう。そやつらであればある程度の技術を理解できるはずだ」


 要するに、私に売った商品から技術を盗めってことだね。

 こうなると、私に売られる商品っていうのも、軍事転用が難しいものばかりになるんだろう。

 私としてはそっちの方がありがたいし、特に問題はないんだけどね。


「それにしても、我々との会談でリリィは魔道具を要求してこなかったな。あれはなぜだ?」


「こちらとダーシェ公国では技術の差がありすぎます。下手にダーシェ公国の品を取り扱うことになれば、それだけで新たな火種になりかねませんから」


「今回はいいのか? お前のブレーンがここにはないが?」


「大公閣下直々の命令とあれば断れないでしょう」


「それもそうだな。彼女には後ほど差し入れでも送ろう」


 こうして会談は終わった。

 コウ様の目論見は外れたけど、私を通じていくらかの技術供与が見込めるとありまずまずの成果だったようだ。

 なお、アリゼさんは諦めた様子。

 やはりサザビー様直々のご命令は覆せないようだ。


 そして、数日後に届けられたお酒と料理はみんなで美味しくいただいたらしい。

 なにを贈ったんだろうね?


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速報です!

『私、蜘蛛なモンスターをテイムしたので、スパイダーシルクで裁縫を頑張ります!』

コミカライズします!


開始時期やどこで読めるかなどは続報をお待ちください!

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