617. 女神様の神像作り
プラムさんやファニさんと話した結果、ユグドライア様の神像を作る許可は下りた。
ただ、それがユグドライア様の神像だとばれてはいけないらしい。
なぜなら、ユグドライア様は様々な宗教で名前が出てくる最高神だが、どのような姿形をしているかは定められていないのだ。
逆を言えば、私たちが会ったユグドライア様も私のイメージを受けたユグドライア様だった可能性がある。
宗教関係はとにかく燃えやすい。
そのため、神像作りも極秘に依頼を出すこととなる。
神像は木製。
エルダートレント素材を使いたかったけど、そんなもので神像を作るなんてことになったら、どんな神様の神像なのかを探られかねないので普通のトレント素材で我慢する。
大きさは私の背より少し高いくらいのものをひとつと私の背より少し低いものをひとつ、それに50cmくらいのものをひとつだ。
一番大きいものは女神様の小屋に、二番目のものは神楽舞台を移し替えた部屋に祭壇を作ってその上に、一番小さいのは私の部屋に神棚を作ってそこに祀ろうと思う。
この世界の宗教観?
そんなもの、知ったことか!
「なるほど、このデザイン画に沿った像を造ればいいのね」
「はい。お願いできますか、ハノンさん」
「わかったわ。素材も持ち込みだし、急ぎで仕上げてあげる」
というわけで、実際の神像作りはハノンさんにお任せすることにした。
ハノンさんは木工職人でもあるので、このような神像も作れるらしいのだ。
というか、本来神像などを手がけている職人の元に持ち込むわけには行かない。
絶対にこの神様が何者なのか問われる。
そんなことになれば、厄介ごとが起こる光景が目に浮かぶわけである。
ちなみに、マクファーレン公国の国教は光神ルータリアと闇神レータリアを最高神とする宗教だ。
この二柱が最高神だけど、それと同格としてほかの属性神が存在し、さらに上位の存在としてユグドライア様など一部の創造神系の神様が存在する。
ちなみに、私の学校で教えている八座の教えは光神と闇神も含め、八属性神を最高神とした宗教である。
マクファーレンとしては、自分たちの国教で主神の光神と闇神がほかの属性神と同格なのは思うところがないわけではないらしい。
ただ、国教においても昼と夜を管理するから光神と闇神が最上位となっているだけであり、ほかの属性神も重要度では劣っていない。
八座を排除してしまえば自分たちの教えも否定してしまうわけだ。
それに、八座の教えは『属性神たちに恥じないよう、清く正しく生きましょう』というのが基本なため、積極的に排除する理由もない。
宗教団体としてなにかを要求しはじめれば変わるのだろうけど、八天座の島は特になにも要求してはいない。
うん、排除する理由がないね。
その上、私が学校を置いている地域では暮らしが豊かになっているというのもあるんだろうけど、現地住民によるいざこざが減っているという報告があるようだ。
子どもたちはほぼ無料、大人たちも多少の金額で受けられる学校の授業は、一般的な教養に混じって必ず道徳の時間を組み込んでもらっている。
それで暮らしが豊かになるとは限らないけど、心に余裕がないとどうしても他人とぶつかり合っちゃうからね。
それなりに結果も出ているみたいだし、よかったよかった。
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