234. タラトの進化 3回目
商業ギルドにも立ち寄っていまのところ振り込まれている代金を受け取り、その使い道(主に寄付金)を決めたあと家に戻ってきた。
寄付金の使い道は王都の復興支援金だ。
復興支援金と言っても王都にもお金を回すが、ヴァードモイから復興のための資材や人員を回すためそちらの費用の方が大きいらしい。
うん、ヴァードモイの経済がよく回るって訳だ。
抜け目がない。
あと、街中の移動用に普通サイズの魔道車を買うように勧められた。
いい加減徒歩だと危ないようだ。
護衛の人たちと一緒に乗ったり特殊な金属で防御力を高めたりするけれど、一般車両の範囲に入る魔道車を用意してほしいらしい。
そちらも問題がないのでアリゼさんと一緒にカーショップへ行くことにした。
ひとりではまだ経験が浅いしアリゼさんの方が必要なスペックを抑えてそう。
なんだか頭脳労働をアリゼさんに丸投げしてばかりな気がするけど、そっちの方が早くて正確なのがね……。
ともかく家までたどり着いたのでタラトに魔石を与える時間だ。
実はタラトに魔石を与えるのはすごく久しぶりだったりする。
冬にタラトの食べた呪玉の魔力が多すぎて食欲がなかったんだよね。
いまは元気になっているから普通に食べてくれるだろう。
魔石も結構貯まっているし、全部食べられるかな?
「タラト、魔石を食べれる?」
『食べれるよ。でも、次に魔石を食べたら進化が始まりそうだから、リリィの部屋で食べた方がいいかも』
おお、タラトの進化!
冬にフロストシルクスパイダーに進化して以来だね。
進化の間隔が短いのは呪玉を食べた結果らしい。
あれの魔力が多すぎて進化までの間隔も短くなったんだそうな。
じゃあ早速、部屋に戻って進化してもらおう!
「ん? どうしたのじゃ、リリィ。嬉しそうな顔をして」
「あ、プラムさん」
2階から3階への階段を上ろうとしていたところ、逆に3階から2階に下りてこようとしたプラムさんと出くわした。
私、そんなに嬉しそうな顔をしているのかな?
「タラトが進化しそうなんです。なので、自室に戻ってタラトに魔石を与えようかと」
「なるほど。獣魔士ともなれば従魔の進化は喜びのかたまりよのう。どれ、儂もその場に立ち会ってよいか?」
「プラムさんもですか?」
「儂も従魔の進化の瞬間に立ち会ったことはない。今後の勉強のためと思い見せてはもらえぬか?」
うーん、進化の瞬間を見せるのか。
ちょっとタラトに聞いてみよう。
「タラト、プラムさんが一緒でもいい?」
『大丈夫だよ。それよりも早く!』
「タラトはなんと申しておる?」
「構わないそうです。でも、急かされていますから、急いで部屋に行きましょう」
「わかった、そうするか」
私はタラトとプラムさんと一緒に自分の部屋へと戻った。
部屋の中に入るとすぐにリュックから魔石を取り出しタラトに与える。
与えたのはフロストワイバーンの魔石だ。
さて、どんな風に進化するのかな?
「……なにも起きぬぞ?」
「あれ? タラト、魔石が足りない?」
『もう十分だよ。もうちょっと待っててね』
タラトが待てというなら待とう。
十分ほど待つとタラトのお尻から銀色に輝く糸が噴き出し始め、タラトを繭で覆った。
いよいよ進化開始だ!
『タラトが進化します。これまで摂取した魔力によって進化先が固定、コキュートスタラチュナトスへ進化します』
え、進化先が固定されてるの?
ちょっと残念。
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