第14話 恩人の助言

私は、3人の弟子たちと話し合いを後にしてロジーナさんの忠告の続きを聞くことにした。


「魔力量が多いともちろん国やその他の機関、例えばギルドなんかから声がかかるわ。それに奴隷としても人気が高いから狙われるわ。その対策に自身の身を守る方法は必ず身に着けさせることね。闇魔法だと、相手を惑わせるのは得意だけど直接攻撃する手段が少ないからそこは考える必要があるわ」


「そこはロジーナさんにお願いできたりは?」


「自分の弟子の面倒くらい自分で見なさい」


「ですよね」


「あなた、領主と懇意にしているのだからお金は持っているんじゃないの。それも立派な力よ」


「ああ。お金は新しい医療道具を作るために鍛冶職人や細工職人の方に多く賃金を払ってますね」


「それなら、追加で護衛を雇うのと護身術を教えてくれる人でも探したらどう?」


「そうします」


私は医療を発達させることしか考えていなかったことにちょっとしょんぼりした。


「後は通信魔法士が欲しいところだけど、あの魔法は特殊な魔法だから国の重鎮が持って行っちゃうのよね。ミリーナがいるから教えてあげることもできるだろうけど、おそらく国の方が給金なんかがいいからそっちに行っちゃうと思うわ」


「そこは契約魔法で何とかできそうですね」


ロジーナさんは顔を手で覆って、あきれた顔を隠している。


「大概のことは契約魔法で何とかなるわよ。サインさえもらえればね。とりあえず、ある程度弟子を育てたら次の街にでも行く予定を立てなさいな。この街で腰を据える気はないんでしょ」


「まあ、魔力での支払いも限界があるでしょうし、教会の動向も気になるので他の街にも行ってみようとは思っていますけれど」


「なら、早めに準備を始めなさい。弟子たちの育成に、この街で作った医療器具の運搬、商人と領主とのつながり、他にはそうね。ギルドでも作っちゃえば?」


「ギルドですか?」


「そう。領主様に毒耐性スキルを取得させているんでしょ。それだけの功績があればギルドくらい作れちゃうでしょ。それに手駒があるといろいろ便利よ」


私は手駒という単語に妙に引っかかりを覚えたが、確かに今後動くうえで1人よりも複数人で平行して動く方が効率がいいと感じた。


「分かりました。とりあえずの目標は医師ギルドの設立、その他もろもろを同時並行して頑張ってみます」


この時は、気づいていなかったが領主家の三男の毒耐性スキルはまだ4だ。急いで準備をしたとしても毒薬の微調整がかなり必要なため佳代子が街を離れるにはまだまだ時間を要することを誰も気づいていなかった。

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