第6話 居場所
ギルドマスターが意識を失って、ギルド内は静かになったがその後私への治療の依頼が殺到した。しかし、ギルドマスターがいうにはギルド内で治療を行うには問題があるだろう。
私は冒険者の人たちにどこかいい場所がないかを相談した。すると
「薬師ギルドならどうだ。あそこには治療をするための場所があっただろう。担当の先生が引退して使われていなかったはずだからそこを使えるか相談してみよう」
と、勝手に盛り上がっていた。私としては、治療を行えて対価が貰えるのであれば問題ないので流れに身を任せることにした。
そこに待ったをかけたのは受付嬢だった。とりあえずギルドマスターの目が覚めるようにしてほしいとお願いされた。流石に私も気絶したままでいらぬ恨みを買いたくはなかったため
【・契約不履行の場合は金貨1枚を支払うこと
・佳代子、ミリーナに対して不利益なことを行った場合、死に至ること
・不利益なことを模索した段階で魔力の1割を譲渡すること
・この契約書類のサインは代理人可能であること 】
を先に締結した契約書に追記した。サインは追加で受付嬢が行った。その直後、ギルドマスターが目覚め、私たちを見ると攻撃を仕掛けようとしていた。その段階で契約が発動したのであろう。魔力を1割譲渡された。ギルドマスターは魔力が急激減ったことに驚き、私は魔力が急激に増えたことに驚いた。
流石はギルドマスターと行ったところであろう。戦闘力がなければ血の気が多そうな冒険者をまとめることができないのであろう。
私は、隙を見てギルドから逃げた。それを見て追いかけてこようとするギルドマスターを受付嬢が止めていた。あの様子から察するに契約書の追記事項について説明を行ってくれるだろう。多分。
ギルドの外に出ると、傷を負った冒険者の集団が道案内をしてくれた。というか薬師ギルドに連行された。到着すると、先に来ていた冒険者が薬師ギルドのギルドマスターを呼んでいたようだ。
「あんたが医者かい?若いねぇ。まあ腕は確かなようだから部屋は自由に使うといい。ただし賃金を支払ってもらうよ。それと私がとってきた患者の容体も見て貰うからね」
私は契約書を作成していいかを尋ねると
「慎重な子だね。もちろん構わないよ」
と言うことで契約書を作成することにした。
【・佳代子は部屋を借りるにあたり月に銀貨3枚を支払うこと
・ギルドマスターは賃金を受け取った場合は部屋を貸すこと
・ギルドマスターの紹介した患者を診療すること
・佳代子はポーション等の機材に関して問題があれば報告を行うこと
・佳代子から問題を提示されたことに関してギルドマスターは改善を行うこと
●契約不履行の場合
・佳代子が契約の不履行を行った場合は街から出ていくこと
・ギルドマスターが契約の不履行を行った場合は罰金金貨1枚と次の診療先を斡旋すること
・契約者相手に不利益を行いそうな場合には神罰をもってそれを阻止することを認めること】
ギルドマスターは契約書を読んで問題ないとサインをした。
こうして私は街での居場所をなんとか手に入れた。
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