第8話 幸運の妖精おじさん
【カメリオル】
『レベル』 1
『体 力』31/31
『精神力』22/22
『スキル』カモフラージュ
ペットの画面で詳細を確かめるとスキルを発見する。見た目はカメレオンとカメにライオンが混ざっているが、カモフラージュにはカメレオンらしさがあった。
まずは名前だ。そこまで苦労はしてないけれど可愛がりたい気持ちが強まった。
しかし、ネーミングセンスに自信はない。キュルという特徴的な鳴き声にちなむのが無難な気はする。パッと思い浮かぶのはキュー太郎だ。どこかで聞いたどころかネットで検索すれば確実に同名のキャラが出てくるはずで、迷ってしまう。
太郎に頼るのをやめようにも、困ったことに次は助をつけたくなる。この感性は一体なんなのか。ただ、キュル助なら多少はオリジナリティがあるし可愛さも感じられた。
悩み始めると沼。とりあえず名前の横にある編集アイコンから、カメリオルをキュル助に変更する。もっといい名前が見つかったら再変更の方向で。
名前の後はスキルの確認に移る。
「キュル助、カモフラージュ」
「キュル!」
ライオンに似た尻尾が揺れると姿が歪んで透明になった。予想通りの効果だが使いどころはいまいち想像しにくい。透明で気づかれずに近づいての先制攻撃ぐらいだろうか。
せめて自分が透明になれれば、と視線を落としたら身体が半透明になっていた。もしやこれは……。
試しに袋小路を出て荒野にいるスケルトンの前に行く。本来だと襲ってくるのだが完全に無視で棒立ちのまま。期待した効果が発揮されていた。
モンスターの多い場所で難なく移動できるのは便利だ。もう一つ気になるのはプレイヤーにどう見えるかだった。
分かりやすさで半透明の表示になっているのだと思うが、果たして自分だけに限られるのか。プレイヤーの前で注目を引く行動を取ってみよう。
メインの道を目指してすぐに、スケルトンと戦うプレイヤーを発見した。モンスターと戦うためにここまで来ているらしい。
見てもらう相手にはちょうどよく、スケルトンを挟んで正面に立ってみた。
「トリガー! パワースラッシュ!」
片手で持った剣がオレンジ色に光って斜めに斬りつける。カッコいい動きのスキルだ。杖にも攻撃的なスキルがあるなら使ってみたい。
スケルトンを倒したプレイヤーは手元で何かを操作する。アイテムの整理を行っているのか?
戦闘中に近くでジッと見られても無視なのは、モンスターと同様にカモフラージュの効果が影響を及ぼしているとみてよかった。
今後は隠れる場所がなくても透明になれば見つからずに回復魔法をかけられる。大きな収穫だ。
目の前のプレイヤーは戦闘後で体力が減っている。確認に付き合ってくれたお礼に回復させてもらおう。
音声コマンドを使うとバレてしまう。指のジェスチャーでメニューを開いてスキルから詠唱を選ぶ。
「うお!」
「……?」
驚きの声が聞こえて手が止まる。回復をかけようとしたプレイヤーが明らかにこっちを見てのけ反っていた。
不審に思いまさかと視線を落とすと半透明だった自分の身体が元通りで、スキルが解除されたのが分かった。
――シュンッ!
気まずさで動けないところへ詠唱完了のSEが鳴る。それを合図に一礼して立ち去ることにした。
◇
【DAO】総合スレPart88
841 名前:名無しの古代人
王都に行くと一気にスキルの幅が広がるな
842 名前:名無しの古代人
ジョブごとにギルドがあって目移りしっぱなし
843 名前:名無しの古代人
いち早く上級ジョブを目指すなら失敗は許されない
844 名前:名無しの古代人
外れジョブになっちゃうのを考えるとなぁ
上方修正のアップデートなんて後回し案件だろ
845 名前:名無しの古代人
お前らのんびりやれって
846 名前:名無しの古代人
≫845
負け組乙
847 名前:名無しの古代人
パーティ募集でハブられたら目も当てられない
848 名前:名無しの古代人
序盤はスキル熟練度の上がり方も優しいけど
取り返すのは比較的簡単じゃないか
849 名前:名無しの古代人
≫848
絶対に終盤どころか中盤で上がりづらくなるから
850 名前:名無しの古代人
そういえばモンスターと戦った後におじさんが急に現れて驚いたな
透明になるスキルってある?
851 名前:名無しの古代人
忍術のスキルは見つけたし何かしらありそう
852 名前:名無しの古代人
魔法にもありそう
でも透明って中盤以降系のイメージが強い
853 名前:名無しの古代人
一日そこらでそんなに熟練度上がらんくない?
854 名前:名無しの古代人
お前ら幸運の妖精おじさんを知らんのか
855 名前:名無しの古代人
知らん
856 名前:名無しの古代人
おじさんっていうと回復魔法が飛んでくるやつ?
857 名前:名無しの古代人
木陰からと思ってたがすでに透明化の術を?
858 名前:名無しの古代人
たまたまインした瞬間に出会っただけでは
859 名前:名無しの古代人
幸運の妖精おじさんを信じろ
これが真実のスレッドだ→【DAO】幸運の妖精おじさんPart2
860 名前:名無しの古代人
≫859
もう2スレ目で笑う
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます