第4話 初めてのテイム

「トリガー、テイム」


 イッカクガエルに向かいスキルを使うと、敵対を示す赤いターゲット名が緑色に変わる。テイムが成功した証だ。


 何度か試しているうちに弱らせることなくテイムができるようになった。スキル欄を開くと調教スキルが20に届いているが、最大値は1000だから先は長い。回復魔法は知らぬ間に60まで上がっていた。


 今のところ、テイムできるモンスターは一匹のため解放して捕まえてを繰り返す。スキル値が上がれば数が増えるのだろうか。


 村の調教屋に戻ると新たな会話が発生した。


「ほう、テイムを成功させたようだな」


「あ、はい」


 NPC相手につい返事をしてしまう。


「これを使え」



≪飼育管を入手しました≫



 キャップが付いた試験管に似た物を渡される。


「仲間にしたモンスターを飼育管に入れる時はアイテムを持ってコマンド、プットインだ。逆に出すときはゲットアウト。しっかり使い分けろ」


 コマンドを覚えるだけでも一苦労だ。


「トリガー、プットイン」


 また新たな効果音と共に、足元でじっとしていたイッカクガエルが光の筋になり飼育管に入っていく。透明だった飼育管はシルバーに色を変えた。


「メニューにペットが追加されたはずだ」


 言われるままメニューを開くとペットのタグが新しくできている。そこにイッカクガエルの名前と詳細が表示されていた。



【イッカクガエル】

『レベル』 1

『体 力』24/24

『精神力』 0/ 0

『スキル』なし



 プレイヤーには存在しないレベルがあるんだな。それに、スキルということは覚えるモンスターも存在すると。調教も面白そうだ。


「新しく名前を付けてやるといい。調教師ライフを楽しんでくれ」


 名前か……どうせなら、もっと強そうなモンスターを仲間にして付けたい。


 NPCと会話を続けていると罠の項目が出てきた。


「ほう、罠に興味を示すか。いいセンスだ」


「あ、どうも」


 また返事をしてしまう。正直、NPCがNPCと思えないほどに現実感がありすぎた。よく見ると表情や仕草から不自然さを感じるけれど息遣いに騙される。ゲームに慣れていると違うのかもしれないが。


 罠は調合で作るらしい。痺れや毒、移動の鈍化や酩酊を与えたりと幅が広かった。


 調教屋とは分かれ、調合屋に行ってレシピを眺めると花を材料にしたものが多い。そういえば地図に花畑があったな。


 とりあえず、王都に向かって物語を進めることにしよう。




 ◇




【DAO】総合スレPart18


346 名前:名無しの古代人

    王都に来たけど無駄に広い


347 名前:名無しの古代人

    読み込みは終わってるのかポータルを使えば一瞬だった


348 名前:名無しの古代人

    ポータルの登録までが一苦労だな


349 名前:名無しの古代人

    建物の装飾も凝ってて見ごたえあるよ


350 名前:名無しの古代人

    ハウジング系は間違いなくある


351 名前:名無しの古代人

    現状でも買えない値段で家が売られてるのは見た


352 名前:名無しの古代人

    木工で家具のレシピがあったぞ


353 名前:名無しの古代人

    ストーリーを進めれば個人部屋ぐらい使えるようになるんじゃないの


354 名前:名無しの古代人

    ギルドを作ったらホーム設定みたいなのがグレー表示されてた


355 名前:名無しの古代人

    家は大体ギルドでってのはあるある


356 名前:名無しの古代人

    フレンドいなくてぼっちギルドを作るのもあるある


357 名前:名無しの古代人

    そこらへんのプレイヤーに話しかけるぐらいしてみようぜ


358 名前:名無しの古代人

    おじさんみたいなプレイヤーキャラがNPCに返事しててほっこりした


359 名前:名無しの古代人

    何それかわよ


360 名前:名無しの古代人

    わざわざおじさんのキャラにするってどうなんだ


361 名前:名無しの古代人

    おじさんは男の娘キャラにしがち


362 名前:名無しの古代人

    中身はおじさん好きのJKだから


363 名前:名無しの古代人

    ≫362

    朗報


364 名前:名無しの古代人

    AI搭載のNPCも中にはいるみたいだけど


365 名前:名無しの古代人

    今どきAIに感動なんておじさんでもしないだろ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る