名物リスナーになりたくて!

S@YU

プロローグ

※Vtuber要素はまだないです




━━━名物リスナー。


それは配信者のコメント欄に現れ、

持った個性を爆発させ、配信者本人、他リスナーを楽しませ、配信を盛り上げる存在。


その配信が大手の者によって行われたならば、

切り抜き動画も大量に制作され、挙げ句の果てには某情報サイトにも名前が残る例もある。


そんな存在に、果たしてなることができるのだろうか。










━━━━━━━━━━━━━━━


ガタンゴトン…ガタンゴトン…。


イヤホンで好きな音楽を聴きながら、電車に揺られ目を瞑る。


俺はつい先ほど、自衛隊の小田桐2おたぎりにしから、普通の小田桐佑おたぎりたすくになった。


そう。今俺は実家への帰路へついている。



……約半年の間自衛隊に所属し、部隊で活躍する為の教育が間も無く終わる。というこのタイミングで、俺は自衛官として歩むことを諦めた。


理由は単純。教官、班長からの暴言、キツイ

体罰に耐えられなくなったからだ。


人格を否定され、訓練でもミスが目立つようになり、暴言にも拍車がかかる━━


………ダメだ。ようやく辞められたというのに、頭の中にその光景がこびりついてしまっている。


俺は、すっかり自分に自信が持てなくなっていた。


〇〇〇〇〇〇〇〇



小一時間程電車に揺られ、見慣れた景色が見え始めた。

もうすぐで実家の近くにある駅に着くだろう。


…なんだか少しだけ緊張してきた。


駅には親が迎えにきている。

辞めるにあたり電話をして、同意を得ているとはいえ、たったの半年でただの佑として顔を合わせることになってしまったから。


どんな反応をするだろうか。呆れてはいないだろうか。怒られてしまうだろうか。

……それとも、喜んでくれたり…?


そんな風にいらない心配をしていると、目的の駅に着き、俺はたくさんの荷物を持って慌てて電車を降りる。


改札まで歩き、財布から切符を出して中に通す。

そのまま出口から出て裏道へ。


俺が駅から帰る時に、いつも親が迎えにくる場所だ。


一本道を過ぎれば、俺が10年以上乗ってきた車が前方に見え始める。


それと同時、運転席と助手席から両親が出てきた。


色々な感情をどうにか押し込め、二人の元へ歩く。


だんだんと、両親の顔がはっきりしてくる。

……呆れてるかな?


そんな心配とは裏腹に、両親は微笑んでいた。


「「………おかえり。」」


「……ただいま。」


俺は、、、帰ってきたんだ。








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